の視点教科❷電子黒板で「平和」の運筆動画を全体で視聴、または各自のタブレット端末で動画を視聴します(図2)。特集❸試書を毛筆の教材の文字と比較し、試書で気づいた点や、中心や字形・点画の特徴の基準を考え、隣の生徒と話し合い、課題のポイントとなるメモを撮影した試書に直接書き込む、または紙に書くことで課題を視覚化し、自己の課題を学びが広がる授業デザイン教科の視点書写ー 8 GIGAスクール構想によるICTの活用が推進されるなか、学習指導要領の基本方針である「主体的・対話的で深い学び」が実現できるための書写の授業が求められています。 書写の授業では毛筆や硬筆による学習が行われ、手で文字を「書くこと」が根幹にあります。「デジタル化」が進むなか、タブレット端末は生徒にとって鉛筆でノートに文字を「書くこと」と同様に、タブレット端末を用いて文字を入力し、調べ学習や成果物の撮影など、もはや授業だけではなく学習にも欠かせないものとなっています。 そこで本稿では、手で「書くこと」と「デジタル化」の共存を図ることができる、ICTを活用した書写の授業の実践例を紹介します。 本校では、特別教室を含む全ての教室で電子黒板・プロジェクターとノートPCは標準設置されており、生徒も1人1台ずつタブレット端末を用いて授業を受けています。例えば、コロナ禍の影響による休校時でのオンライン授業では、Zoomと授業支援クラウド「ロイロノート・スクール(以下、ロイロノート)」を活用することで、教員・生徒間の双方向の授業を実施してきました。 学習指導要領において、各学年で行われる毛筆の書写指導は、硬筆の書写能力の基礎を養うように指導すると示されています。そのため、書写の授業を計画するうえで「毛筆→硬筆(国語の授業や日常生活に生かした成果物を含む)」につながるようにすることや、国語の授業との連動した深い学びができるように心がけています。例えば、国語で学習した『竹取物語』や『枕草子』の文章を楷書や行書で書くことがあげられます。書写で身につけた力を、国語科の「書くこと」の言語活動と関連しあうものとして位置づけています。単元 行書で書いてみよう 楷書と行書の違い「和」、点画の連続と省略「平和」本時の目標・楷書と行書を比較し、行書の点画の連続と省略を理解して書こう。・行書の筆使いの中から自己の課題を見つけ、その理解方法を考えよう。はじめに本校におけるICT環境について授業展開について授業の流れ【第一時(1/2)の学習指導展開例】《導入》楷書と行書の違い「和」について まず、指導者用デジタル教科書を活用し、楷書と行書の「和」の文字部分を、電子黒板に掲示したあと、生徒のタブレット端末にデータを配信します(図1)。教科書の下段には楷書と行書の違いについてまとめられているため、まずはその部分が見えないよう全体に向けて「和」の毛筆文字から気づいた点を数名に発表してもらいました。生徒の意見として、行書は楷書に比べると「丸みがある」、「柔らかい」、「『禾』の部分の形が変わっている」など、どのクラスもおおよそ行書の特徴について捉えられていました。 そこで、生徒の意見をふまえつつ、本時の目標について確認し、展開へと進みました。《展開》行書 点画の連続と省略「平和」❶導入で学習した行書の特徴をふまえて、生徒はまず「平和」を試書したあとに各自のタブレット端末で試書を撮影し、記録用として保存しておきます。今回は行書の導入回のため教科書を見ながらでしたが、段階に応じて教科書を見ずに試書する方法でもいいと思います。書写の授業における「書くこと」と「デジタル化」の共存とは?~今こそ取り入れたい、ICTを活用した書写授業の実践~大妻中野中学校・高等学校教諭 柳やぎ沼ぬま 舞まい書写
元のページ ../index.html#8