教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (中学校版)
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特集の視点教科未来を拓く授業デザイン〜課題に向かう力を身につける〜-ー 教科の視点社会 「企業は何のためにあるのだろう。」 そう生徒に投げかけると、多くの生徒が教科書に書いてある内容から次の文のように答えると思います。 「人々がある目的をもって集まり、必要な資金や設備を使って生産活動を行うためです。」(令和3年度版『中学社会 公民 ともに生きる』教育出版p.136より要約。) 私たちが生活するこの社会には、数多くの企業が存在しています。それらの企業は、財やサービスを「生産する」以外に、何のために存在しているのでしょうか。この問いに迫るために、自らが会社を興す、つまり「起業する」ことを想定した学習を実践しました。生徒に「将来の夢」を尋ねると、「社長・起業家」と答える生徒が増えてきた昨今、生徒にとって身近で、かつ魅力的な学習といえます。 単元計画を立てるにあたり、教科書で扱っている各項目の順序を①のように大胆に入れ替え、起業する際に考える必要があることを、順を追って学習できるようにしました。また、各時間の終わりには、②授業で使用した「起業構想シート」②に示した「起業構想シート」に、「どのような会社をつくりたいか」、「資本金はどのように準備するか」など、起業についてその日学習したことを踏まえて記入していくようにしました。 さらに、単元を貫く学習課題とした「企業は何のためにあるのだろう」という問いを、毎時間投げかけながら学習を進めていくことで、「起業する」学習をしながら、生徒の思考が常に途切れないように工夫しました。時数1・企業は何のためにあるのだろう2・生産活動をになう主体3・金融のしくみと中央銀行4・間接金融と直接金融5・生産と消費を結ぶ6・ものの価格の決まり方7・価格のもつ意味8・家計ってなんだろう9・働くということ10・株式会社ってなんだろう1112①単元計画・さまざまな企業・消費者を守るもの,支えるもの・安心して働ける社会・会社の「企画書」を作成しよう・企業は何のためにあるのだろう③授業で使用した「企画書」教科書-2節-①2節-②4節-①4節-②1節-③3節-①3節-②1節-①1節-②2節-④2節-⑤2節-③10学習内容はじめに授業実践 ~単元計画~「起業」を通して経済を学ぶ授業の実践 ~「起業構想シート」を用いた学びの「つながり」と「自己調整」~山梨県北杜市立小淵沢中学校教諭 新しん海かい 拓たく也や社会

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