教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (中学校版)
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特集未来を拓く授業デザイン〜課題に向かう力を身につける〜教科の視点 社会・既習事項を振り返り、本時の学習課題をつかむ。・自分が起業したい会社の「企画書」を作成する。・「企画書」について意見を出し合う。・完成した「企画書」についてのプレゼン動画を撮影し、コミュニケーションツールに投稿する。・プレゼン動画を見て、改善点をツール内でコメントし合う。 考える。・これまでの授業で記入してきた「起業構想シート」や「ポートフォリオ」を用意し、本時の学習の参考にできるようにする。・どのような企業を起業するかを、具体的に想起させる。・「起業構想シート」を参考にし、「企画書」を仕上げる。・「労働者のために」、「地域・社会のために」、「セールスポイント」の記述を通して、「生産する」こと以外の企業の存在価値、「利潤を得る」こと以外の企業の目的について、気づくことができるよう指導する。・1分程度のプレゼン動画(企画書を映しながら、説明の音声を吹き込む)を作成させる。※動画を作ることが目的ではなく、互いに改善点を出し合うことが目的であるため、簡素な動画でよい。・自分のプレゼン動画を投稿後、他者の動画を視聴し、改善点などをコメントするよう促す。・意見やコメントをもとに、再度「企画書」を修正する。・「企画書」づくりの活動や、単元全体の学習を通して「単元を貫く学習課題」に対する自分なりの答えを考える。・ポートフォリオを仕上げる。 11時間めには単元のまとめとして、これまで記入してきた「起業構想シート」をもとに、③の「企画書」を作成し、プレゼンテーションを行いました。完成した「企画書」は、全員の前で発表という形式ではなく、プレゼンテーションを行った様子を動画に撮影し、コミュニケーションツールに投稿したものを視聴してもらいました。動画を視聴した生徒は、改善点などの意見をツール内の機能を用いてコメントし合い、そのコメントをもとに、12時間めには再度「企画書」を修正し、完成版として提出することとしました。 また、単元を通して常に投げかけてきた「企業は何のためにあるのだろう」という問い(単元を貫く学習課題)に対して、自分なりの答えを記入してもらいました。財やサービスを「生産する」ことのみならず、労働者や消費者、地域や社会全体のために企業が存在しているということに、学習を通して気づくことができたと思います。ここまでで1時間  今回の実践では、教科書の内容を学習しながらも、「起業する」というプロセスに沿って学習する順序・配列を工夫することで、単元につながりをもたせることができました。その際、「起業構想シート」に毎時間記入する活動を取り入れたことで、生徒が「起業する」ことに向けて自己調整をしながら学習を進め、最終的に「企画書」の作成につながっていきました。また、ICT機器を活用し、互いの「企画書」についてコメントし合う活動も効率的に進めることができました。 将来、すべての生徒が「社長」や「起業家」になるわけではありませんが、多くの生徒が「企業」で働き、その企業の成長や発展について考えることになります。今回の実践を通じて、「起業」を切り口に経済や金融について学ぶことで、その学習の必要性をより明確に感じることができたように思います。11導入展開①展開②・「企画書」を完成させる。まとめ・「単元を貫く学習課題」を主な学習活動単元を貫く学習課題 「企業は何のためにあるのだろう。」指導上の留意点ー授業実践 ~本時(11・12時間め/12時間)~おわりに

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