教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (中学校版)
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石いし井い 英てる真まさー2特集未来を拓く授業デザイン〜課題に向かう力を身につける〜提言対象世界知識教師学習者対象世界知識学習者教師ホンモノの当事者・実践者対象世界知識教師学習者 この小論では、「材(教材や主題や学習材)」と向き合う授業という視点から、子ども主語で軸をもった主体を形成する授業のあり方について述べたいと思います。まず、授業という営みは、教師と子ども、子どもと子どもの一般的なコミュニケーションではなく、材を介した教師と子どもたちや子どもたちどうしのコミュニケーションです。学習者中心か教師中心か、教師が教えるか教えることを控えて学習者に任せるかといった二項対立の議論は、この授業という営みの本質的特徴を見落としています。授業という営みの本質的特徴を踏まえるなら、子どもたちがまなざしを共有しつつ材と深く対話し、教科の世界に没入していく学び(その瞬間、おのずと教師は子どもたちの視野や意識から消えたような状況になっている)が実現できているかを第一に吟味共同注視学習環境リソース・共同体・文化 など学び超え学習環境リソース・共同体・文化 など学習環境のデザイン学習コーディネーターなど学習環境のデザイン対話誘い的誘導対話対話学習組織者的指導対話対話対話対話チューター的対話伴走者すべきです。教師主導は教師を忖そん度たくする授業に、学習者主体は材に向き合わない授業になりがちです。教師主導でも学習者主体でも、子どもを引き込み、成長を保障する授業は、材を介して教師と子ども、子どもどうしが向かい合い、ともに材に挑む三角形の「共同注視」の関係性(カウンターに横並びのような関係性)になっています。 材を介した共同注視関係は、以下のようなメカニズムで主体的な学びを深化させていきます。年度始まりや授業の入り口において、教師は材の魅力に誘うべくてだてを講じるし、比較的垂直的なナナメ関係であることが多いですが、学びが深まり、対象への関与が深まってくると、対象や問いにともに向き合い教室での学びにともに責任をもつ、より水平的なナナメ関係(「共同責任」関係)に移行してい共同責任学習環境リソース・共同体・文化 など対話伴走的誘導対話学習環境のデザイン図「真正の学び」における「共同注視」関係の展開と「学び超え」の構造 (筆者作成)対話1. 共同注視関係で主体性が育つ基盤を創る京都大学大学院 教育学研究科 准教授提言本気で材と向き合う授業デザイン ( ( ( ( ( (

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