共育のツボせこじゅんすけ26 私の勤務校では、遠足や球技大会、宿泊学習といった学校行事のあとに、生徒に作文を書かせています。教室で原稿用紙を配る時にはため息や悲鳴が聞こえますが、いざ提出されるとどれも力作ぞろいです。 年度の最初の行事作文を書かせる際、原稿用紙を配る時に学級通信に載せる旨を伝え、「いいこと」を書くのではなく、その行事に参加して自分が素直に思ったことを書いてほしいと伝えます。 生徒の作文に目を通し、載せる作文が決まったらその生徒に掲載の許可をもらいます。喜ぶ生徒もいれば、まさか自分がと驚く生徒もいますが、みんな快諾してくれます。作文が載った学級通信を配ると、みんなじっと作文を読みます。その作文を読むことで、自分とは違った見方や考え方で行事に参加している友達の存在に気づき、はっとさせられることがあるようです。私は最初、2〜3人くらいの生徒の作文の全文を掲載していましたが、同僚の先生が10人くらいの生徒の作文を3〜4行ずつくらい抜粋し、紹介しているのを見て、参考にして自分もやってみると、それも生徒たちは熱心に読んでいました。この方法だとより多くの生徒にスポットを当てられるだけでなく、その行事に対するさまざまな経験を共有でき、これはいいアイデアだなと思いました。 生徒の作文は、ふだんの学校生活では見ることので全国各地の先生がたのアイデアを詰め込んだ「共育のツボ」。「ともにはぐくむ」をテーマに、子どもたちとの関わり方や学級経営の工夫、先生ならではのお悩みとその解決法など、日々奮闘する先生がたの情報共有の場となるようなページをお届けします。きない一面を、かいま見せてくれます。行動に現れていなくても、気持ちの中には外からは見取れない感情があります。それを紙面で紹介したり、日常の生徒との会話の話題にしたりすると、生徒たちは喜びます。 行事のあとに書かせる作文は、単にその行事を振り返るだけでなく、さまざまな人の見方や考え方に触れたり、次の行事に前向きに取り組むきっかけになったりと、教師にとっても生徒にとっても、よい効能があるもののようです。瀬古 淳祐名古屋大学教育学部附属中・高等学校教諭先生も生徒の作文を読むのが楽しいことを伝えると、生徒はより前向きに文章を書いてくれるようになります。生徒の作文を学級通信に
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