教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.4 (中学校版)
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特集の視点教科未来を拓く授業デザイン〜課題に向かう力を身につける〜教科の視点国語ー 6 現行版『伝え合う言葉 中学国語2』p.132掲載「随筆の味わい」の『春はあけぼの』を教材として、「現代語訳や語注などを手掛かりに作品を読むことを通して、古典に表れたものの見方や考え方を知ること。」(『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編』)をねらいに、実践に取り組みました。時1・小学6年教材『春はあけぼの』の想起後、音読する。2・春の情景として、どれがふさわしいか検討する。3・秋の「夕日の~あはれなり。」の情景を思い浮かべ、4・秋の情景として、どれがふさわしいか検討する。 『春はあけぼの』について、小学6年生の学習を振り返り、覚えていることを発表させました。その際、ページ上にある情景の写真を隠した小学校の教科書(図1)を授業支援システムで提示しました。 令和2年度版『ひろがる言葉 小学国語6上』(教育出版)には、想像しやすいように、文章に合った季節の情景が描かれています。それを生かし、学習活動では情景を参考に大意をつかみながら、滑らかに読めるように音読を繰り返したり、自分の感じる季節感について、枕草子を参考に書いたりしています。このような学習の経験を想起することを第一と考え、細かく解説をせず、そのきっかけとなる小学校の教科書を・春の情景を思い浮かべ、絵に表す。・夏のよさを考える。絵に表す。・冬のよさとよくないことを考える。図1 令和2年度版『ひろがる言葉 小学国語6上』『春はあけぼの』活用しました。 小学校の教科書を見せながら、「小学校の時の『春はあけぼの』の学習で覚えていることは?」と尋ねました。すると、生徒は口々に、「ああ、何か見た覚えがある。『春はあけぼの。ようよう……』。」「『秋は夕暮れ。』の続きはなんだっけ。」と発言するなど、授業で何度も取り組んだことを発表する様子が見られました。また、「自分の好きな季節について、枕草子風に書いた。」というように、枕草子の世界観と自分の季節感とを照らし合わせた学習を想起していました。 「やうやう~たなびきたる。」から思い浮かんだ情景を、授業支援システムに絵(図2)で表現させました。それを全体で共有して、ふさわしい絵の検討を行いました。タブレットを使用しない場合は、付箋に書かせ、1枚の紙に貼り合わせて、共有する方法も考えられます。 絵で情景を表現する際には、古典の原文や現代語訳を参考にするように伝えました。文章からどこまで理解できているかを確認することにつながるからです。すると、「『山ぎは』の、空の山に接している部分ってどこ。」や、「雲が細くたなびくって、どんな感じなんだろう。」などと、とまどっている様子が見られました。しかし、しばらくすると文章を手がかりに、もくもくと取り組んでいました。 描けた生徒から提出させ、全体で共有しました。全体で共有して、絵を比較することは、文章のどこ図2 春の情景を表現した絵学習活動はじめに実践のポイント① 「『春はあけぼの』を想起させる」(1時間め)実践のポイント② 「春の情景を絵で表し、全体で検討する」(1・2時間め)読み取ったことを絵に表して、理解を深める国語の授業名古屋市立笹島中学校 川かわ村むら 朋とも也や国語

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