教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.5 (中学校版)
12/32

輝いて生きるための自分デザイン教科の視点数学ー 特集の視点教科 子どもが「輝いて生きる」ためにはさまざまな要素があります。毎朝希望をもって登校し、満足感をもって下校する。そんな毎日を子どもに過ごしてほしいと私は願っています。それには毎日の授業も大きな要素のひとつです。生徒が学校で過ごす大半の時間が授業であるため、よい授業の実践が子どもの希望や充実感につながると考えています。子どもが「楽しい!」「わかる!」「もっと考えたい!」と思えるような授業を目ざし、子どもが主役となり、子どもの活動する時間が中心となる授業を心がけています。 岩見沢市では、「子どもと創る授業」の実践を市内の全小中学校で進めています。岩見沢市立教育研究所の「子どもと創る授業」の定義は以下の通りです。 「教えるべき事項は正しく教えることに加え、教師の発話を減らし、子どもが活動する十分な時間を保障すること」が大切です。そのため、これまでの教師が一方的に長時間説明し続けるだけの授業からの脱却を図るため、私たち教師の指導観や授業観の転換が必要不可欠になります。 本校では、令和3年度から隣接する岩見沢市立幌向小学校と接続して小中の9年間を見通した統一した授業スタイルで授業実践を行っています。「子どもと創る授業」を「子どもの声が響きわたる授業」と捉えた『ほろむいスタイル』の実践を進めています。小学校と統一したスタイルで授業を行うことは大変意義深いものだと考えます。単元の中で、主に知識及び技能を育む「習得」の時間と主に思考力・判断力・表現力等を育む「活用」の時間を明記した指導計画を立てています。さらに1時間の中でも「習得」「活用」に分けて行う授業も展開しています。 令和5年度からは、『ほろむいスタイル』の実践に加え、単元を通して解決する課題を設定し、協働的な学習を通して課題を解決するプロセスを大切にした「単元に位置づけた探究型の学習」に全教科で取り組んでいます。 『ほろむいスタイル』は大きく2つの要素で授業を構成しています。『ほろむいスタイル』❶教師の発話を100回におさえる。❷子どもが活動している「シーン」を創る。❶教師の発話を100回におさえる。教師の発話指示・確認・中心、補助発問・指名・説明 など 主体的・対話的で深い学びを実現するには子どもの活動時間を確保しなければならない一方で、指導事項は確実に教え、定着を図る必要があります。1時間、単元や領域において適切な指導計画のもと、バランスを図りながら指導にあたることが大切です。教師の発話を100回におさえることができれば、1回の発話の平均を7秒とすると、教師の声は12分程度しか聞こえない計算になります。発問や指示を精選し、子どもの声が響く時間と意味のある子どもの活動時間を生み出しています。❷子どもが活動している「シーン」を創る。子どもが活動している「シーン」・問いを立てる   <学習課題を自ら設定>・言葉をつなぐ   <対話を生む>・絶えず問いを生む <学習を自分事にする> この3点は探究型の学習における生徒の姿と重なります。指導計画の中で毎時間子どもの言葉や思考をファシリテートしながら、子ども自身がこれまで培ってきた知識及び技能を活用した探究サイクルを回すような素地をつくります。次のTDKを中心に対話を生むための言葉を使って実践を重ねています。12各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連づけてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう学習の過程を重視した授業はじめに岩見沢市の実践と本校の授業について子どもの声が響きわたる授業について子どもの声が響きわたる授業の実現に向けて北海道岩見沢市立豊中学校教諭 阿あ部べ 駿しゅん也や数学

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る