教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.5 (中学校版)
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輝いて生きるための自分デザイン教科の視点 数学特集❶習得の段階文部科学省「算数・数学の学習過程のイメージ」(引用文献)省(平成29年)13対話を生むための言葉 TDKT:「○○さんの考えにつながる人はいますか」D:「どこに書いてありましたか」  「どこから調べましたか」K:「もう少し詳しく言えますか」 本校では学年ごとに球技大会を実施しており、その球技大会の計画を立てることを問題として授業を組み立てました。自分たちが実生活で企画・運営する行事を問題とすることで、生徒が主体的に解いてみたいと思えるように工夫しました。 今回公開した授業は、次の学習過程のイメージを何度も回すことができるような自由度の高い問題をもとに「習得」と「活用」に分けて行いました。 本時に身につけてほしい考え方や知識及び技能を子どもとのやり取りを通して確認します。その際、ペア学習を中心にしながらインプットしたものをアウトプットして確実な定着を図ります。本時は現実事象を数学の世界で考え、方程式を用いて試行していくことを意識させました。試合時間や休憩時間は、どちらか一方を定めてから方程式を用いて求めることができることを確認しました。 方程式の文章問題では、「求めたい数量」「わかっている数量」をペアでそれぞれ確認し、協働的な学びを通して解答の見通しを立てています。探究型の学習を目ざしてー❷活用の段階 球技大会の計画を立てるかなり自由度の高い問題としました。試合を「リーグ戦」「リーグ戦&順位決定戦」「トーナメント戦」の3つの方法を提示し、実施方法も検討しながら「みんなが満足できるか」などさまざまな視点から考えさせました。試合数、試合時間、休憩時間のそれぞれがともなって時間が変わることについて、根拠を明らかにして判断する過程を大切にした授業展開を意識しました。 グループで問題の解決を図りました。「なるべく試合数が多く」「試合時間が長くなるように」「負けたチームのことも考えながら」数学と日常生活の事象を関連させて検討を重ねる姿が見えました。 あるグループは、1コートあたりの試合数を3試合、休憩時間をx分、試合時間を1試合あたり15分と設定し、方程式15×3+2x=90をつくりました。この方程式を解くと、x=22.5となり、「小数になったけど、どういう意味だろう」とグループ内で話し合いを進めていました。さらに、試合時間が15分なのに対し、休憩時間が22.5分と長いことにも違和感を覚え、再検討している姿が見られました。 このように求めた解が、実生活において適切かどうかを確かめる解の吟味が中学校1年生から必要であると考え、常に意識させるよう指導しています。おわりに 本校の探究型の学習は、歩み始めたばかりです。問題が探究に適しているかなど、多くの反省があり検討の余地がまだまだあります。しかし、子どもの声が響きわたる授業を全教科で継続して行うことで、毎朝希望をもって登校し、満足感をもって下校する姿が見られると確信しています。今後も子どもが「輝いて生きる」ことができる数学科の授業について追求していきたいです。【引用文献】・『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』文部科学

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