教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.5 (中学校版)
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輝いて生きるための自分デザイン教科の視点音楽ー 特集の視点教科 「Bright Future」の歌詞を初めて読んだときにイマドキの歌詞だなと感じました。歌詞がもつ「答えがない感じ」が、生徒がもつ探究心や好奇心に寄り添ってくれるのではないかと思っています。 生徒たちにとって、この曲がこれからの時代—Bright Future〈明るい未来〉を作る原動力になってくれれば嬉しいです。作詞/金子 麻友美 作曲/鷹羽 弘晃16桐朋学園大学や附属の音楽教室などで、ソルフェージュを中心に音楽教育に携わる。NHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲(「手紙」「Yell」)の編曲を手がけたほか、NHK-FM「ビバ!合唱」のナビゲーターなど、多方面にわたる活動を展開している。一種の文化になりつつあるのではないかと考えています。 日常を振り返ってみると、私たちはなにごとにも決断することを繰り返して生きていると思います。それは、音楽をするときも同じです。目から得る楽譜の情報や耳から得る音の情報をインプットしつつ、演奏行為=アウトプットを行う。これは、決断の繰り返しからなっています。 音楽科は、音楽を材料にしてどのように情報をインプットし、どのようにアウトプットするかということをたくさん経験できる教科だと思います。この経験が生徒の決断力を養い、日常生活のさまざまな決断場面に生かされればいいなと考えています。演奏のポイント「Bright Future」音楽の授業は生徒の決断力を育む鷹羽 弘晃(1)前奏 演奏するときは、イマドキのポップスを思い浮かべていただけると、表現のイメージがしやすいかもしれません。最近の音楽を聴いていると、明るさと暗さの狭間のような響きが多く聴こえてくると思います。この曲の前奏も、長三和音と短三和音が組み合わさった9の和音で始まるので、そんなイマドキの雰囲気を演出してください。(2)練習記号A 12小節め「―ture」の音に下降するグリッサンドの指示をしています。これは、ピッチの変化をしっかり表現するように……という意図ではありません。「―ture」の音は、短い音価が割り当てられていますが、しっかりと残響が残るように歌ってほしいなと思い、このような指示をしました。力まずに投げかけるように歌えば、自然とピッチは下降すると思います。(3)練習記号B このセクションから長調に転調するのでディヴェルティメントのようにリラックスして歌ってくれればいいなと思います。「輝く未来を~」という歌詞で始まりますが、レガートで歌うのではなく、「か・が・や・く・み・ら・い・を」というようにノンレガート気味に歌ってください。伝統的な歌唱方法から逸脱していると思うのですが、イマドキのポピュラー音楽では多くみられる歌い方だと思います。現代の音楽シーンでは、この歌い方がもはや(4)練習記号D 「何が待っているのだろう~」を16分音符で歌うのは難しく思えるかもしれませんが、歌詞のリズムを見てみると「なにが・まって・いるの・だろう」という風に3×4のリズムになっています。言葉のリズムを意識すると歌いやすくなると思います。(5)練習記号F この曲の山場なのですが、大げさな表現はせずにテンポを一定にキープして演奏してください。作曲家が語る新しい合唱教材作曲家 鷹たか羽は 弘ひろ晃あき作曲家 小こ林ばやし 啓けい樹き音楽

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