教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.5 (中学校版)
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輝いて生きるための自分デザイン教科の視点国語ー 1211116特集の視点教科つかむ追究するまとめる読の感想や疑問を整理しました。教師の範読と教材の内容や人物関係を講義形式で整理した動画をもとに、事前に自宅で学習をさせ、一人一人が本作品に対してどのように捉えたのか、そしてどのような課題を設定して学びに向かえばよいのかを考えさせられるような時間としました。 教科書p.20学びナビには、「象徴」についての解説があり、本教材において「タオルが象徴しているものはなんだろうか。」という疑問を抱えている生徒がたくさんいました。また、「シライさんは、どうして少年に会ってわざわざ話をしたのか。」や、「少年視点で書かれているが、他の登場人物の気持ちについて考える必要がある。」といった多くの疑問や考えを全体で共有しました。話し合いの結果、全体での大きな読みの課題としてタオルが象徴しているものは何かを考えることと、生徒一人一人が本教材で考えたいことは何か自身の課題を明確にしました。 2時間めと3時間めに少年とシライさん、父親の人物像について考える授業を行い、そこでの学びを生かして予備撮影を行い、タオルが何を象徴しているのかを考えさせました。本時は動画を撮影させ、特に象徴性が表れているワンシーンをスクリーンショットしたものをもとに象徴性を話し合う時間となります。 初めに個人でタオルの象徴性を表しているような教師による範読、教材についての講義動画 現行版『伝え合う言葉 中学国語2』p.22掲載の『タオル』を教材として、「目的に応じて複数の情報を整理しながら適切な情報を得たり、登場人物の言動の意味などについて考えたりして、内容を解釈すること。」(『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編』)をねらいに、実践に取り組みました。過程時間 生徒が主体的に読み進められるような授業が展開できるよう、AIテキストマイニングを活用して初学習活動○反転学習を通じて抱いた感想や疑問点を、AIテキストマイニングを用いて整理する。○生徒の感想や疑問をもとにして、読みの課題である「なぜ、作者はタオルを『象徴』としたのか。」について考える。○冒頭から結末まで少年の心情が表れている描写を抜き出し、図式化して整理する。○整理した図式をもとに、シライさんを登場させた作者の意図を考える。○タオルの象徴性を表す描写を個人で考える。○教科書に立ち返りながら、タオルの象徴性を表す映像を予備撮影として作成する。○予備撮影したものをもとに、本時の課題に迫れたか振り返り、全体で共有する。○前時で予備撮影した映像をもとに、再度教科書に立ち返りながら文章には書かれていない人物の思いをどのように表現するか検討する。○本時までの学習事項を生かしながら映像化を行う。○象徴に迫れた場面となっているか、課題に迫る工夫が施されているかという観点をもって映像を共有する。○共有を通じて深まったことや、新たな読みの発見をまとめる。○「なぜ、作者はタオルを『象徴』としたのか。」という初発の問いについて自分の考えを再度まとめる。○本単元の学びを振り返る。はじめに実践のポイント① 単元の読みの課題を設定する(1時間め)実践のポイント② タオルの象徴性を表している描写やそれに関連する描写に注目し、予備撮影を通じタオルが何を象徴しているのかについて考える(4時間め)学習用語を手がかりに描写に着目して読み、映像化を通じて作品の解釈を深める国語の授業群馬大学共同教育学部附属中学校教諭 高たか橋はし 正まさ人と国語

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