輝いて生きるための自分デザイン教科の視点書写ー 8特集の視点教科❶筆使いはなめらかにできているか。❷字形の整え方のポイントはおさえられているか。❸半紙全体に対する配置はどうか。 書写の学習は、教材文字に似せて書く能力を高めるために行うのではなく、より正確に、より能率的に、よりよく伝える力を身につけるために行います。毛筆を使用した学習では、教材文字を見ながら、どのようにしたらよりよく書けるか、考えて書くことが大切です。よりよく書くとは、「運筆、字形、筆圧、筆脈、配列、全体構成」などの観点を理解し、意識して書くことだと考えます。 そのために、「よりよく書くとはどういうことか」「どのようにしたらよりよく書けるか」ということを他者と話し合って見つけたり、相互批正の中で気づいたりすると、自ら進んで学習するきっかけになります。また、毛筆を使用した学習で意識したことや考えたことを硬筆学習にも生かす場面を作ることで、生徒は学びを実感できると考えます。 一年生は中学校に入学してはじめての書写の学習となるため、書写の学習意義を理解させ、「よりよく言葉を書くために試行錯誤する過程を大切にしてほしい」ことを初回の授業で伝えました。字形を整えることに加え、運筆や筆圧などの運動面を意識して書くことにも留意してほしいため、単元の中に運筆を見合う活動を取り入れています。また毛筆を使用して学習したことを、日常生活の中の書字活動にも生かすため、単元の最後に掲示物づくりの活動を設定しました。国語科「書写」として、国語の内容と結びつけて行っていくことが大切です。付箋を使って相互批正する様子 付箋には「右払いの筆圧の調整が上手」「もう少しゆっくり力を抜くと右上払いがうまくいくと思う」と、線から筆使いを想像しているコメントがありました。また、「横画の右上がりの角度が同じでよい」「『天』をもう少し上から書き始めると半紙にうまくおさまると思う」などの具体的な批正もみられました。このように成果物をよく見て考え、批正することで観察眼が磨かれ、初めての教材文字に出会ったときにも自分で考えて書く力がつきます。その後、自分の成果物に対する批正を真剣に読み、まとめ書きで改善しようとする様子がみられました。 今回は2色の付箋を使って批正活動を行いましたが、半紙に直接書き込んだりロイロノートなどのデジタルツールを使ったりする方法もあります。生徒単元名楷書で書こう単元目標・基本点画の筆使いや文字の組み立て方、 字形の整え方を理解して書く第一時 ・基本点画を書く ・「天地」の試し書き第二時 ・「天地」の練習 ・付箋を使って相互批正 ・まとめ書き学習計画はじめに学習の展開について授業計画(単元①)授業の実際第二時 楷書で書こう「天地」 第一時で基本点画の筆使いを確認し、第二時では「天地」における基本点画、その筆使いなどを確認し、試し書きを振り返ります。その後、個人で練習し、そのうちの一枚を相互批正します。相互批正を有意義なものにするためには、批正の観点を教師が示したり、生徒自身に考えさせたりすることがポイントです。ここでは、次のように示しました。相互批正をとおして学び合う書写の学習東京都足立区立江北桜中学校教諭 林はやし 美み月づき書写
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