教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.5 (中学校版)
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輝いて生きるための自分デザイン教科の視点 書写ー9特集の学習状況や理解状況に応じて使い分け、有意義な活動にするとよいと思います。授業計画(単元②) 相互批正も教師による評価も、成果物を見て行われることが多いですが、文字や言葉が書かれるまでの過程を大切にしたいです。「『い』の一画めからどのように穂先が動いているかな気持ちをつなげて…運筆を見ている様子生徒作例二画めで、筆脈が通っているね。」「そこで墨継ぎをしないで気持ちをつなげるように、そのまま書くといいよ。」「『は』の結びの部分をどう書くか見せて。」と、自然と互いに学び合っていました。 今回の授業では行いませんでしたが、運筆の様子を近くの人にタブレットで撮影してもらうと、自身の運筆の様子を後から見ることができ、改善しやすくなると思います。また、デジタルツールを活用すると批正のコメントを送り合うことができ、それが記録として残るため、生徒自身の振り返りや教師による評価の際にも便利です。 授業後に、「相互批正することで新たな気づきを得られ、よりよく書くことができた。」「友達の運筆を見て、自分が書く時にも生かすことができた。」「書写の学習がこんなに楽しかったことはなかった。」という感想がありました。字形や運筆について相互批正し、よりよく書くためのポイントを学び合うこと。そして書写の授業での学びを日常の書字活動に生かしていくことが、言葉や書くことについて「深い学び」を得るための初めの一歩になると思います。単元名楷書と仮名の調和・平仮名の筆使いや筆脈、配列を理解して書く・楷書に調和する仮名の筆使い、字形を理解し単元目標て書く第一時 ・「いろは歌」の試し書き、練習 ・隣の人の運筆の様子を見て相互批正 ・まとめ書き第二時 ・鉛筆で「生きる力」「思いやり」、詩(国語学習計画 教科書教材)を書く ・ペンで詩(自作)を書く(掲示物づくり)❶筆脈は通っているか。❷漢字と仮名は調和しているか。授業の実際おわりに第一時 楷書と仮名の調和「いろは歌」 単元を貫くねらいは、「点画と点画、文字と文字はバラバラに離れているのではなく、気持ちのうえでは全てつながって書かれるという感覚をつかませる」ことです。 試し書きや練習では、墨継ぎを多く行い筆脈が途切れ、線と線の気持ちのつながりがみられない様子でした。そこで、隣の人の左側に立ち(隣の人が左利きの場合は右に立ちます)、運筆の様子を相互批正する活動を行いました。特に「いろは」の部分で筆脈が通っているか、筆使いのポイントをおさえられているか、筆圧の調整はどうか、などをよく見るよう伝えます。以下は生徒に示した観点です。第二時 楷書と仮名の調和 詩を書く 第二時は、これまでの書写の学習を生かして、国語の授業で作った詩を書く活動を行いました。文字の中心を行の中心線に揃えたり、文字の大きさを考えて書いたりするために、はじめにワークシートを用いてそのことを確認し、鉛筆で練習しました。 掲示物づくりでは、下書きをし、黒色のペンでなぞります。ここでは筆圧がかけやすく太細の出やすい硬筆用のペンを使用しました。生徒は基本点画の筆使いを意識し、行の中心や文字の大きさなどを考えながら、時間をかけて丁寧に書字していました。

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