教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.6 (中学校版)
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「考える時間」を楽しむ授業デザイン教科の視点音楽ー 特集の視点教科16譜例1 沖縄音階で歌う「かえるのがっしょう」筆者作成楽譜図1 音板を外したメタロフォン1年p.30-31、p.59  p.31には、四つの日本の音階が紹介されています。私は「音階」が与える曲想への影響は絶大だと考えます。そこで、同一曲の旋律の動きを音階を変えて比較する導入を試みてきました。曲想の違いは一いっ聴ちょう瞭りょう然ぜん(造語です)で、おおっと声がもれ、生徒の発言を引き出すことができます。授業では譜面は提示せず、歌や演奏を聴かせて比較しますが、本誌では沖縄音階で歌った「かえるのがっしょう」を譜面で紹介します。全員に達成感をもたせやすくなります。 iPadをよく使う学校なら、「円環音階」アプリで「琉球音階」を選択すれば、指先のタップだけで三線パートが演奏できます。唄は音源を繰り返し流してもいいでしょう。「郷土のさまざまな民謡」と歌唱教材「谷茶前」を用いた授業展開例(1)導入 譜例1を聴かせて「どう違った?」という問いに、「沖縄音階は、陽気なかえるみたい。」「いきなり沖縄。」「踊っているような感じ。」等の発言を引き出したところで、p.59「谷茶前」の伴奏例に音板楽器などを使ってチャレンジしてみましょう。(2)「谷茶前」の伴奏をつくろう(三線パート) 教科書の伴奏例を参考に、5音で伴奏をつくってみましょう。三線パートのリズムで、ドミファソシの5音を自由に組み合わせて演奏するところを、事前に真上から撮影しておき、授業で視聴します。 最初はマレットを持ったつもりで、  のリズムを自分の机上で練習します。次に、ローテーションしながら全員楽器で試奏させます。即興的に演奏しながら、お気に入りの進行パターンを見つけて記録します。音板が外せるオルフ楽器が複数あれば、必要な音板だけを残して、どこを鳴らしてもまちがいがない状態で伴奏にチャレンジさせることができ、(3)「谷茶前」の伴奏をしよう(打楽器パート) 三さん板ばは、明るく爽やかな音色の打楽器です。人さし指と中指を伸ばして板と板の間のひもを下から支え、薬指と親指で挟んで打つ奏法は簡単です。教科書ではトレモロの奏法が紹介されています。締太鼓のパートは、拍打ちから始めて、「スットントン・ドドンがドンドン」と、唱えて伝授すると譜面どおりに演奏できます。(4)「谷茶前」の唄を練習しよう(旋律パート) 囃子ことばの部分は歌いやすいのですが、その他の部分は、(2)(3)の練習で繰り返し聴いて、耳に記憶させてから全員で歌うとスムーズです。なんとなく歌えるようになったら、伴奏シーンで力を発揮した生徒に伴奏係を依頼して、唄と伴奏を合わせましょう。(5)グループ学習の手立て 深い学びを目ざすなら、旋律、三線、三板、各太鼓パートに分かれてグループ学習の時間をとります。しかし、自立して演奏することができるようになるまでは、一定の拍にのって練習できるように旋律音源を流しながら教師がグループを巡って支援をすることが大切です。三板のリズムパターンに統一性がなかったりしても、旋律パートがはずんでいれば、大勢に影響ありません。民謡は譜面にとらわれず、聴きながら考え、つくって楽しみながら、リズムや音階の特徴を感じとることができる題材だと思います。楽しさを追究すれば学びは深まる広島女学院大学 森もり保やす 尚なお美み音楽

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