教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.6 (中学校版)
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「考える時間」を楽しむ授業デザイン教科の視点英語ー 特集の視点教科18 近年、学校教育においてはICTを活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」が求められています。当初は新たな言葉が並んでいると困惑しましたが、私自身の学びを進めていくなかで、これまでに行ってきた授業の見方を変えるだけで実践可能なのだと考えられるようになりました。ICTを活用した学習は、学びを大きく発展させたり、困り感を解消できたりする、生徒にとってとても便利なツールであることを理解し、授業改善に努めています。 ONE WORLD English Course 2のLesson 6は比較表現を学習する単元であり、この単元のゴールを“My recommendation of destination in Japan for junior high school students”について「話すこと(発表)」と設定したうえで、単元計画を作成しました。単元のゴールは常に生徒と共有します。ゴールを意識した単元計画にしなければ、生徒自身が「何を学ぶのか」を意識できなくなります。また、生徒が「どのようにして学ぶのか」という興味関心をもつための導入の工夫も必要です。教材研究は生物(なまもの)です。そのときの生徒たちがどんなことに興味をもっているのか、常にアンテナを高くして生徒たちとの会話を楽しむことが大切であると考えています。 文法を指導するうえでは、比較表現(-er/-est)を使うと「何ができるようになるのか」を示すことを意識しました。また、ここでは教科等の横断的単元の指導計画な学びとして、社会科で学習したことを活用し、“Which is taller, the Great Buddha of Kamakura or the Great Buddha of Nara?”や“Which is the largest country among China, U.S., and Russia?”のようなクイズ形式での導入を行いました。このとき、生徒がおもむろに社会科で活用している地図帳を取り出したことは、興味関心の高まりの表れとみなせると考えました。さらに「クイズを作ってみたい!」という好奇心をもたせることにもつながりました。しかしながら、実際に生徒たちが作るクイズは出題者視点で考えられたものになりがちで、解答者側になると、事実関係が把握しづらかったり、クイズに使用されている単語や文法事項が既習範囲から逸脱していたりして、問題が難しい、よくわからないという思いをもつようでした。 そのため、よりよいクイズにするためにはどのような工夫が必要かという視点で、質問や提示の仕方について相互評価を行わせました。その結果は、パフォーマンステストのプレゼンを作る際の参考にさせました。 これが単元のゴールに向かう「考える時間」を楽しむ材料となります。 どのようにしたら、よりよい発表になるかの手がかりをつかむため、単元の中盤ではALTに日本のおすすめを紹介しました。赴任した際に聞いたALTの自己紹介から好きなものや興味のあるものを回顧し、プレゼン資料を作成しました。紹介する際に、ALTからはプレゼンテーションに対する質問をしたり、あえて“I’m sorry. I don’t like it.”といったフィードバックをしたりしてもらいました。この活動を行うことで、生徒たちは、他者に何かを紹介する際には新たに学習したmore/mostを使用したロイロノートの共有ノート機能を活用した相互評価はじめに単元のゴールに向けて生徒の「やってみたい」を活かす授業づくり北海道留萌市立港南中学校教諭 工く藤どう 琴こと子こ英語

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