「考える時間」を楽しむ授業デザイン教科の視点 英語特集19比較表現が有効であること、また、他者意識をもってプレゼンしなければ、「おすすめ」する側の自己満足で終わってしまうということを学んだようでした。生徒たちの振り返りシートには、「今回習ったthe mostの表現を使うとより魅力的なプレゼンになる。」「相手が何を好きなのか事前に調査しておく必要がある。」「相手に質問しながらプレゼンをすすめるとよい。」といった記述があり、単元のゴールに向けて、さらにプレゼンの質を上げる次のステップへの見通しをもつことができていました。 本校ではロイロノートを導入しており、授業における生徒の活動のほとんどはロイロノートで行っています。その機能の一つにアンケート機能があり、先に述べた「事前に好きなものを調査した方がよい」という生徒の振り返りをもとに、単元のゴールで紹介する場所のアンケート調査を行いました。「“Where do you want to go?”という質問に対し、最も多かった回答はamusement parkだったので、Tokyo Disney Land(千葉県)を紹介する。」、「“What do you want to see?”という質問に対し、最も多かった回答はbeautiful snow sceneryだったので、北海道を紹介する。」など、生徒たちが紹介する場所は多岐に渡る結果となりました。単元のスタートからゴールまで一貫して「紹介する」活動を行ったことから、パフォーマンステストでは他者意識をもった魅力的なプレゼンが多く見られました。 教科書本文の内容も日本や外国の観光地の紹介となっているため、教員としては単元のゴールを設定しやすかったと考えています。 また、単元の最後には、今単元で学んだことを概念化する(他教科での学習や日常生活で活かせるように振り返る)活動も行いました。生徒からは「一方的に話をするのではなく、相手のことを知ることもコミュニケーションには大切である。」「いろいろな情報を集めるためにインターネットを使うけど、一つのサイトだけでなくさまざまなサイトを見ることで信ぴょう性が高まる。」などの意見があがりました。 教科書の内容については、「教科書を教える」のではなく「教科書で教える」ことを意識しています。日本語とは違うリズムや音を知るのに、教科書は最適なツールです。単元における教科書本文の内容理解については、まず音をとらえることから始めています。学習者用デジタル教科書では聞きたい単語や文を何度もリピートすることができるので、生徒一人一人のペースで音読練習させます。本文の内容理解の時間は、自分のペースでデジタル教科書を活用したり、ペアワークをしたり、教員に聞いたりできるような、自由進度学習を意識した授業展開にしています。また、Microsoft TeamsのReading Progressという機能も使用しています。本文のテキストデータを読み込ませたAIが生徒の音読を正確性や表現という観点からチェックし、パーセンテージでスコアが出されます。そのため、生徒自身がより明確な数値目標を持つことができるようになりますし、自分のミスを確認することで、さらによりよい表現をしたいという意識を高めることにつながります。また、この機能は教員の業務効率の向上にも非常に役立っています。 情報活用能力が求められる時代において、ICTはどんどん進化しています。生徒自身が情報を取りに行くことができるなかで、私たち教員も授業改善をしていくための情報をどんどん身につけ、アップデートしていかなければなりません。自分自身が興味関心をもって教材研究を行わなければ、生徒を惹きつける授業展開はできないと考えています。活動のなかで悩み、考える時間は生徒の成長には不可欠な時間だと思います。その時間を生徒がより楽しめるようにするために、教員自身が常にアップデートを意識し、今日より明日の授業をより良くするためのツールを探し続けることが私たち教員の使命であると考えています。Microsoft Teamsを活用したフィードバックデジタル教科書を活用した音読練習単元のゴール学習者用デジタル教科書の活用おわりにー
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