教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.6 (中学校版)
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「考える時間」を楽しむ授業デザイン提言ーひ訣梅 2特集東京大学 薬学部 教授池いけ谷がや 裕ゆう二じ 先生提言けつあんばいという、この二つの重要性は、人間もコンピュータも同じだなと思います。 私の研究室では、ネズミを使って、ある実験をしました。ネズミを迷路に放して、餌に行きつくまでどのくらい時間がかかったかを測定し、最終的に迷路を覚えるまでの要した時間を比較したのです。A図じっくり考え、まちがえる経験の重要性学習進度と理解度の関係 私はAIの研究もしていますが、AIが上手に学ぶと、人が上手に学ぶための秘訣は、実はための秘かなり似通っています。同じデータを与えても、与え方が下手な人は、全く使い物にならないAIばかり量産してしまうのです。 我々研究者の間では、AIは単にデータをまる暗記しているのではなく、十分に「考えている」し、「理解している」というのが共通の認識となっています。ここで重要なパラメータとなるのは、学習速度です。AIがどのくらいのスピードで学習するかはに設定しな人間が決めるのですが、それをいい塩いと学習が全然うまくいきません。 あまりに早く学習させようとすると、与えられた情報をまる暗記する傾向になってしまい、物事の本質にいっこうに至りません。「ゆっくり学ばせたほうがいい」ということがよくわかります。 もう一つ重要なのが、定着するための時間を設けることです。人間でいうと家でその日の授業内容を復習するようなプロセスを設けて、猶予を与えてやる。そうすると飛躍的に学習精度が上がるんです。 ゆっくりと学習させる、定着させる時間を設ける「考える時間」を楽しむ~いま、教師にできること~

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