教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.6 (中学校版)
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「考える時間」を楽しむ授業デザイン教科の視点書写ー 8特集の視点教科いや字形の特徴を理解する。「開花」2時間生かした作品制作をする。単元名「熟語作品」~自分で決めた熟語を行書で書こう~・行書の筆使いや字形を理解し、これまでの毛筆学習を生かして書く。単元目標・教科書等を適切に扱い、自ら調べ考える力を養う。第1時第2時第3時採用すること。(×山、人、木)❸同じ部首の漢字を続けて使用しないこと。(×若葉、燃焼)❹「平和」「雲海」「開花」の六字は使用しないこと。 特に②と③については、生徒に対して具体例を取り上げて説明してあげるとわかりやすくなります。②の条件を設けた理由は、あまりにも簡単な硬筆での草稿作成・題材とする熟語を調べ、考える。・教科書の巻末を活用し行書を調べ、硬筆で草稿を書く。・書写のポイントを明らかにする。毛筆練習・毛筆を使って練習する。・班で相互批正を行う。まとめ・まとめとして書く。・学習を終えての振り返りを行う。 「書写は、専門性がないと教えるのが難しい」そう感じている先生が多いのではないでしょうか。また、教材文字がないものを課題として扱うことに抵抗を感じる生徒も多いと思います。実際には、教員の専門性が求められるのは確かですが、教科書を活用することで、生徒が自ら調べ、考えながら学習することができます。 本校は中・高一貫校で、私は中学校と高等学校の書写・書道の授業を教えています。ここでは、中学1年の二学期に行っている行書学習の実践をご紹介します。 本校では、中学1年で書写の授業が週1時間ありますが、主に二学期に行書学習に取り組みます。行書の学習指導の計画は以下のとおりです。 漢字の字形や筆使い、漢字を構成する要素(部首、部分)などを見ながら、教科書の巻末部にある教材も活用しつつ課題を設定しています。学習教材時間数「平和」2時間楷書と比較をすることで、行書の筆使「雲海」2時間点画の連続や省略を理解して書く。また、冠や偏の書き方にも注目する。点画の省略や行書による筆順の変化を理解して書く。また、構えや冠の書き方にも注目する。熟語作品3時間題材となる熟語を決め、行書の特徴を ここからは、二学期の最後に行書学習のまとめとして実施した「熟語作品」の実践例を取り上げます。学習計画目標はじめに年間指導計画授業計画授業の実際と指導のポイント授業の前に 本単元に入る前に、それ以前の授業で簡単な応用編を実施しておくと導入がスムーズです。「開花」の授業の中で、「『問』と『落』の2字を、お手本ナシで書いてみよう」という応用編の時間を10分間ほど設けました。「問」の中に入る“口”は平和の「和」を応用でき、「落」は雲海の「海」の“さんずい”が入っています。このように、行書学習をその教材文字のみで終わらせず、部首や部分を組み合わせることで書けるようになるという感覚をもたせることは大切です。 もしくは「同じ部首の漢字を書いてみよう」という活動を設けてみると、漢字の部首の学習にもなると思いますし、生徒どうしで「どんな漢字を選んだ?」などといった会話も自然と生まれ、対話的な学習活動の時間になることでしょう。第1時 硬筆での草稿作成 まずは題材選びから始めます。この授業では題材となる熟語を決めるにあたり、以下の四つの条件を提示しました。❶熟語は、2~4字とすること。❷偏、冠、構えなど、複数の部分から構成される漢字をお手本ナシの、書写の学習~自ら調べ、考えることを楽しむ中学書写 行書学習の応用編~浅野学園 浅野中学校・高等学校教諭 堀ほり井い 広ひろ海み書写

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