数学年年教科の視点表1 2014年〜2023年までの岩手県大船渡市の二酸化炭素濃度 上の表1をみて気づくことをあげさせると、多くは、年々、二酸化炭素濃度が増加していることに気づきます。そこで、2023年から50年後には、二酸化炭素濃度がどのくらいになっているかを直観的に予想させ、「2023年の50年後、2073年には二酸化炭素濃度がどのくらいになっているか数学を利用して予想してみましょう。」と発問し考えさせます。表をもとにして予想すると、2014年から2023年の変化を見ると、9年間で23ppm増加していることがわかります。このことから、平均で1年あたりおよそ2.6ppmずつ一定の割合で増加すると考えると、425+2.6×50=555より、50年後の2073年の二酸化炭素濃度は555ppmになることが予想できます。表だけでは予想しにくい場合には、グラフ1のように表に示されたデータをプロットさせて、それを利用し、予想させ濃度(ppm)430420410400390380グラフ1 未来を予想することで、今の社会をどのようにすべきかを考えることができます。例えば、現在、地球温暖化が問題になっています。二酸化炭素などの温室効果ガスが増加すると、太陽から地球に届いたエネルギーが、地球に閉じ込められてしまうため、地表の気温が上昇すると考えられています。また、海面上昇、極端な気候変動、異常気象の増加などを引き起こし、生態系などに大きな影響を与えることが考えられます。課題について 授業では、二酸化炭素濃度と地球温暖化の関係を伝え、二酸化炭素濃度の変化について関心を高めます。 まずは、二酸化炭素濃度の変化を、これまでにわかっているデータをもとにして予想する場面をつくります。例えば、最近10年間の二酸化炭素濃度の変化についてデータを与え変化の様子を捉えさせます。その後、別のデータも示し、再検討を行います。ポイント(1)50年後の二酸化炭素濃度を予想する201741020224222014201520162017201820192020202120222023(年)2014濃度(ppm)4022019414201540420204172016408202142020184122023425グラフ2想することも考えられます。このときに大切なのは、直線をひくということは、二酸化炭素濃度がどのように変化すると仮定しているかを意識させることです。すなわち、二酸化炭素濃度の変化が一定であると仮定することで、直線をひいて予想可能になっていることを指導する必要があります。(2)ほかのデータも加えて予想を評価・改善する 現在、産業革命以前の二酸化炭素濃度のおよそ2倍である550ppmを超えないように、さまざまな取り組みがされていますが、50年後の2073年には超えてしまうことを予想することができました。19983702018412濃度(ppm)表2 1988年〜2023年までの5年ごとの二酸化炭素濃度 予想をした後、表2のデータを示します。この表を見ると、5年ごとの二酸化炭素濃度の増加量は、1998年から2003年では9ppm、2003年から2008年は10ppm、2008年から2013年は11ppmというように増えていることがわかります。先ほどは、二酸化炭素濃度が増える割合は一定として予想しましたが、一定としたことが妥当であったかを検討する必要性が出てきます。そこで、表2のデータのように、5年ごとの二酸化炭素濃度の増加量が1ppmずつ増えていくとすると、何年後に550ppmを超えるかを考えさせます。表やグラフを利用して予想させると、2063年には約565ppmになることがわかります。二酸化炭素濃度を変化させる要因として、さまざまな場面での化石燃料の利用、森林面積の減少などが考えられます。それらの現状や未来を勘案し、どちらの予想になりそうか数学を使って得られた結果を社会の実態と照らし合わせながら解釈し、検討する場面をつくることもできます。【参考文献】・国土交通省 気象庁 大気中二酸化炭素濃度の観測結果濃度(ppm)5805304804303802014ることも考えられます。さらに、グラフ2のようにプロットした点に対してできるだけ近くを通るよう直線をひき、50年後の2073年のときの二酸化炭素濃度をグラフから読み取ることでおよその値を予2024203420441988354200838919933602013400205420642074(年)2003379202342513未来予想×数学
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