理科教科の視点図2 四象限評価軸における各教科の位置づけ(例) 各教科等の学習内容と関連させて、さらに具体例で考えてみます(図2参照)。 理科の枠を少し超えて考えてみましょう。中学校でいえば「総合的な学習の時間」や特別活動で、「教科を超えた発想」が求められることになります。 「総合的な学習の時間」では、各教科等の「見方・考え方」を総合的に活用して資質・能力を育むことが求められています(文部科学省,2019,p.10)。しかし、各教科等の「見方・考え方」が具体的に整理されていないため、「総合的な学習の時間」における「見方・考え方」も具体性に欠けがちです。 このため、教育目標である「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力」「学びに向かう力,人間性等」の育成が難しくなり、何を評価すべきかが不明確になってしまいます。 この問題に対して、本稿で提案した「見方・考え第1象限は「仮説の検証に直観的に対処する領域」で、数学の「ひらめき」などが例として挙げられます。第2象限は「課題の解決に直観的に対処する領域」で、体育・音楽・美術などの「想像力」や「感性」が該当します。第3象限は「課題の解決に論理的に対処する領域」で、技術・家庭科の道具製作や生活設計、社会科の社会問題解決、理科の観察・実験指導や防災教育などが例として考えられます。第4象限は「仮説の検証に論理的に対処する領域」で、理科における「観察・実験計画の立案」などが該当します。図3 四象限評価軸を子ども用に書き換えたもの【参考文献】・文部科学省:『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』平成29年7月(令和3年8月一部改訂)・文部科学省:『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総合的な学習の時間編』・森健一郎・芳賀均(2023):教育課程におけるSTEAM教育のフレーム構築と評価軸の開発,日本科学教育学会研究会研究報告,37(6),pp.27-30.方」の四象限評価軸は、教科を超えた発想を促すことができます。この枠組みを活用することで、各教科等の「見方・考え方」を整理し、「総合的な学習の時間」における具体的な指導と評価の方向性を明確化できると考えられます。 「総合的な学習の時間」や「総合的な探究の時間」では、「テーマの設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現」という過程が重視されています。この探究の過程と四象限評価軸を組み合わせることで、各局面でどのような「見方・考え方」を促すべきかを検討できます。 例えば、「テーマの設定」では柔軟な発想が求められるため、第1象限や第2象限の主観的・直観的な「見方・考え方」が重要になります。一方、「整理・分析」では客観的・論理的な「見方・考え方」が必要となり、第3象限や第4象限が該当します。 このように、探究の過程の各局面で、四象限評価軸を活用して適切な「見方・考え方」を検討することで、教師は子どもたちにどのような支援が必要かを判断しやすくなります。さらに、子ども自身も自分の活動を分析的に振り返ることができるでしょう。 このように、探究の過程と四象限評価軸を組み合わせて活用することで、「総合的な学習の時間」や「総合的な探究の時間」のみならず、各教科等における指導と評価の方向性を明確化できると考えられます。15「見方・考え方」の具体例「総合的な学習の時間」での活用探究の過程と「見方・考え方」
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