教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.7 (中学校版)
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英語教科の視点の視点教科 ChatGPTとはOpenAI社が開発した大規模言語モデルであり、こちらの入力に合わせてまるで人間が行っているかのように言語を生成してくれることが特徴の生成AIの1つです。文部科学省から2023年7月に「生成AIに関する暫定的なガイドライン」が出ていますので、そちらもぜひご覧ください。 2024年4月に、ChatGPTは登録なしでも使えるようになりました。まだ使ったことがないという方は、まずは登録をせずに使ってみるとよいでしょう。なお、登録をすることで、事前にどのように答えてもらうか(返答の長さや英語のレベルなど)を設定することができたり、学習履歴をオンにしておけばそれまでに記憶した会話の情報に合わせた対応をしてくれたりします。GoogleやMicrosoft、Appleのアカウントがあれば、連携をするだけで登録は完了します。より便利に活用するには、登録することをおすすめします。 ChatGPTは言語の生成にはひじょうに優れていますが、学習しているデータには限りがあるので、知識を問うことに関してはまだまだ課題があります。自分の名前を入力したうえで「私について教えて」などと問う場合だけでなく、日本の地名や歴史について問うても、誤った出力が生成されることがあります。また、英文法に関しても文法用語を中心に、日本で中心的に扱われている英文法とは異なった出力がよく見られます。しかし、筆者の経験では英文自体の文法・語法の正確性において問題があったことはこれまで一度もありません。以前であれば、週に数回しか会えなかったALTの先生にきいていたことを、24時間365日いつでもきけるようになった感覚です。例文作成や自身の英文チェックなどはどんどんChatGPTに確認するとよいでしょう。右上図は、実際に語法上の疑問点を尋ねたやり取りの例です。これまで複数の辞書で調べたのちにALTの先生にきいていたことが、ChatGPTを活用することで一瞬で解決します。18 ChatGPTは例文作成や英語のチェックだけではなく、アイデアの壁打ちや教材作成で用いることも可能です。教科書の英文を入力したうえで、授業中にできる活動を尋ねてみると、こちらが思いつきもしなかったような活動を提案してくれることがあります。また、英文から特定の語や品詞を抜いたり、英文を易しくリライトしたりすることはひじょうに得意です。入力した英文をもとに、それらをドリル演習型に書き換えたり、特定の表現を使った練習問題を作成したり、語彙のリストを作成したりできます。これまで先生が手作業で行っていたことのほとんどをChatGPTが担ってくれます。応用例としては、Kahoot! (無料で使えるクイズ作成アプリ)の問題を作成してExcelの表型にして出力してもらうことで、すぐにKahoot! のセットを作成することが可能になりました。 このように、これまでかなりの時間をかけて行っていた授業準備の多くを、ChatGPTで効率化することができます。しかし、注意していただきたいのが、効率化できるためにこだわりすぎてしまうことです。これまで、時間の制約上どこかで切り上げざるを得なかった授業準備が、余裕が生まれたぶんどんどん深めていくことができてしまいます。徹底的にこだわったから授業がより良くなるわけではないと日々感じています。逆にこだわりすぎて授業が空回りする感覚に陥ることもあります。効率化できたからこそ、これまでの授業のクオリティ+αくらいで教材準備は切り上げて、生徒との関係性の向上や先生自身の人間的魅力を高めることにその時間を充てていくことが、結果的により良い授業につながると思います。ChatGPTとは何か授業準備でChatGPTを使用しよう忙しい先生のためのChatGPT活用法学校法人石川高等学校・石川義塾中学校教諭 岩いわ瀬せ 俊しゅん介すけ英語

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