教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.7 (中学校版)
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英語教科の視点 18歳未満がChatGPTを使用するためには保護者の承諾が必要です。13歳から使用することができるため、中学2年に進級した際に承諾をとってから生徒の利用を始めるとよいでしょう。承諾書については筆者が作成したものを右の二次元コードからご覧いただけます。こちらからWordファイルをダウンロードして、適宜ご編集のうえご使用いただけます。見えないところで生徒がこっそり使うのではなく、正しい使い方を授業のなかで指導していくことが大切だと思います。自治体の制約等、乗り越えなければいけないハードルがいくつもあるかと思いますが、この便利で効果が高いツールを正しく使っていけるよう、1日も早くルール等が整備されることを願っています。 生徒はChatGPTを使用することで、一人一人に優秀な家庭教師がついているような感覚で学習することができるようになります。例として、英会話の練習相手とする場合と、英作文の添削者とする場合の2つを紹介します。 ChatGPTのアプリ版には、下図のようにヘッドフォンマークのアイコンがあります。こちらを使用すると、音声だけでChatGPTと会話することができます。例えば授業冒頭のChat活動で活用すれば、やり取りの相手役をChatGPTに務めてもらうことができます。そうすることで、言いたいけれど言えなかった表現を教えてもらったり、チャット終了後に文字データで対話を確認したりすることができます。 ChatGPTの出力音声は、現時点ではスピードのコントロールはできませんが、今後読み上げのスピード調整が可能になるのも時間の問題だと予想されます。 英作文の添削に関しては、筆者は右上図のPromptを生徒に共有して、それを入力してから自分の英文を入力するように指示をしています。 これまで一枚一枚集めて添削をしていたことが、生徒が教師を介さずに即時的にフィードバックを得られるようになったのでひじょうに重宝しています。この機能を導入してから生徒に家庭学習として英作文を課す機会は大幅に減少しましたが、そのぶん授業のなかで紙と鉛筆を使って自分で英文を作る活動を行う機会が大幅に増えました。授業自体の構成やあり方自体を転換させ、便利なツールはどんどん取り入れ、生徒の英語力向上の最大化を追い求めていくことが大切だと考えています。 評価の場面でもChatGPTはひじょうに便利です。英文と活動内容や目的を入力したうえで、ルーブリックを作成することができます。評価自体の精度面では課題が多いため、評価の全てを丸投げすることは危険ですが、例えば文法上のエラーを一覧にしてもらうことで、エラーの質と量を確認することが可能です。文と文のつながりも指摘してもらうことで、どのくらいの不自然さがあるかをすぐに確認することができます。その際、生徒の英文を写真に撮ってそのまま貼り付ければ、自動的に読み取ってもらうことも可能です。 これまでは、添削やフィードバックのことを考えると英作文を書く活動をさせるのに躊躇してしまうことがありました。実際に書くことが英語力向上にひじょうに大切であることを実感しながらも、その後の大量の作業を考えると回数を制限していたのが正直なところでしたが、最近ではどんどん書く活動を取り入れるようになりました。 ChatGPTはまだまだ多くの間違いを出力することがあります。教師も生徒も、そのことを認識したうえで使用していくことが大切です。個人情報は入力してはいけない、倫理的にふさわしくないやり取りはしてはいけないことなどを生徒に伝えます。また、教科書の本文などの英文を入力する際には、「学習させない」設定にした方が安全です。便利な機能が満載のChatGPTだからこそ、生徒が正しく使いこなせるように、学校現場でも使い方の指導をすることが当たり前になる未来を期待しています。19授業中にChatGPTを使用しよう評価の場面でChatGPTを使用しようChatGPT 使用上の注意点

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