教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.8 (中学校版)
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教科の視理科点木昌知□□□□□□□14広島県三次市立塩町中学校教頭 玉小中の接続を考える意義「理科の内容」から見る系統性「理科の目標」から見えてくる普遍性と系統性図1 令和7年度版『自然の探究 中学理科』における小中連携上:第1学年『生物の観察と分類』下:第2学年『いろいろな化学変化』り深い学びにつながっていくこともご存じだと思います。そういう意味において、小学校の理科と中学校の理科のつながりを中学校の理科の教師が理解しておくことが大切だと私は考えます。 私はこれまで小学校教諭、中学校教諭、理科の指導主事を経験してきました。そこで、小学校と中学校の両方の経験がある私の目から見て、中学校の理科の教員が授業をつくる際に役立つと思われる小中の接続の視点を述べたいと思います。については「内容の構成」に表で整理されています。理科の内容は、小中の理科の系統を図るねらいから、大きく「エネルギー」、「粒子」、「生命」、「地球」の4つの基本的科学概念を柱とする領域に大別され、さらにそれぞれの領域が3〜4の下位領域に分けられています。そのうえで、小中における学習内容がどこに位置づくかを示すことにより、小中の学習内容のつながりを意識して授業づくりを行えるようになっています。 中学校の学習内容と関連のある小学校の学習内容を把握しておき、小学校で学習した内容を適切に想起させることにより、小学校で学習した内容を根拠としながら仮説を立てることができるなど、科学的な思考力も育成されることが期待できます。 一般的に小学校と中学校の理科のつながりを考えるときには、この学習内容の系統性を思い浮かべる先生が多いと思います。ですが、私は学習内容の系統性以上に、「『理科の目標』から見えてくる普遍性と系統性」と「『理科の見方・考え方』のつながり」が重要だと考えています。以下にそのことについて説明します。い、つまり、系統性が見えてきます。 この2つの目標の共通点から理科という教科は「理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察、実験を行うことなどを通して」「資質・能力を」「育成することを目指す」教科であることがわかります。つまり、小学校、中学校ともに、理科の授業を行う際に教師は、「子 皆さんが中学校の理科の授業を考えるとき、生徒に既習内容や経験を想起させながら授業を行う大切さは実感されていることでしょう。特に理科において仮説を設定する際や実験方法を考える際には、生徒に自分の経験や既習内容をもとに考えさせているはずです。当然、中学校の理科の授業において、小学校の理科の授業での経験、既習内容を活用させることができれば、よ 既習内容の活用という視点では、当然、小学校で学んだ内容が中学校のどの内容につながっているのかという内容の系統性を考えなければならないでしょう。 その際に、小学校での既習内容を想起させる図1のような教科書の記述を活用しながら、小学校の授業を思い出させる投げかけをされている先生がたも多くおられることだと思います。 『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』(以下、学習指導要領解説)でも内容の系統性 ぜひ、小学校と中学校の理科の目標を比較してみてください。その共通点を見いだすことにより、小学校でも中学校でも変わらない理科という教科の普遍的な部分が見えてきます。また、相違点から小学校と中学校の違理科における授業づくりに役立つ小中の接続の視点

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