教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.8 (中学校版)
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15【引用文献・参考文献】・ 文部科学省:『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』  平成29年7月平成29年7月(令和3年8月一部改訂)・ 2017(平成29)年改訂小学校学習指導要領・ 2017(平成29)年改訂中学校学習指導要領・ 『自然の探究 中学理科』1、2、3 教育出版(令和7年)・ 文部科学省:『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』  見方量的・関係的な視点質的・実体的な視点共通性・多様性の視点時間的・空間的な視点「理科の見方・考え方」のつながり図2 令和7年度版『自然の探究 中学理科』の探究の進め方どの学習をしていても「探究の進め方」を確認できます。表1 理科の各領域における特徴的な見方どもが理科の見方・考え方をはたらかせることができる授業」、「子どもが見通しをもちながら観察実験を行う授業」、「子どもが理科の資質・能力を身につけることができる授業」になっているかを常に振り返りながら、授業づくりをしなければならないということです。 一方で、相違点は大きく2点見いだすことができます。1点めは、小学校は「自然に親しむ」のに対し、中学校は「自然の事物・現象に関わる」ということです。2点めは、小学校は「問題解決」するのに対し、中学校は「科学的に探究する」ということです。この違いはどういう意味なのでしょうか。①「自然に親しむ」と「自然の事物・現象に関わる」 理科は自然を対象とした教科です。その自然へのアプローチの仕方が小学校は「親しむ」で、中学校は「関わる」であるということです。「親しむ」とは、自然との直接的な関わりを重視した表現であり、「関わる」とは、自然事象から学んだことから法則性を見いだしたり、概念を形成したりするということを重視しているといえます。②「問題解決」と「科学的に探究する」 「問題解決」と「探究」はどちらも理科の学習過程を示しています。学習指導要領解説には、「資質・能力を育むために重視すべき学習過程のイメージ(高等学校基礎科目の例)」が載っており、小中学校においても「基本的には高等学校の例と同様の流れで学習過程を捉えることが必要である」と記載されています。このことから、基本的に小学校の「問題解決の過程」と中学校の「探究の過程」はほぼ同じものであると考えられます。 なお、令和7年度版『自然の探究 中学理科』(教育 理科では、見方・考え方について、「見方」と「考え方」に分けて整理してあります。理科の「見方」については、「エネルギー」、「粒子」、「生命」、「地球」の4つの領域それぞれに表1のような特徴的な見方が示されています。 なお、『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科』にはこれ以外にも「原因と結果」、「部分と全体」、「定性と定量」といった見方が紹介されています。 また、理科の考え方については、小学校では、第3学年で「比較」、第4学年で「関係付け」、第5学年で「条件制御」、第6学年で「多面的に考えること」と、学年を通して主にはたらかせる考え方が示されています。中学校においては、生徒が小学校で、どのように見方・考え方をはたらかせたのかを把握しておくことが大切で、中学校の授業では、小学校ではたらかせた見方・考え方出版)では、図2のように「探究の進め方」を折り込みにし、どの学習場面でも確認できるようにすることで、生徒が「科学的に探究する」力を身につけられるようになっています。 あえて「問題解決の過程」と「探究の過程」の違いは何かと考えるならば、①で述べたように、小学校においては、身近な自然の中から児童が自らの素朴な疑問を課題として設定し、その解決を目ざすのに対し、中学校においては、課題を設定後、その解決を目ざすだけでなく、その結果から法則を見いだしたり、概念化を行ったりする。この点が「問題解決の過程」と「探究の過程」の違いといえるのではないでしょうか。 中学校ではこのことを踏まえ、最初に設定した課題を解決したのち、それらの共通点から法則を見いだせるように、例えば、各実験グループの条件を変えて実験を行わせ、それらの共通点から法則を導くなどの工夫をしていく必要があるということです。を想起させながら学習を進めるとともに、少しずつ、教師が援助しなくても理科の見方・考え方を生徒自らが自在にはたらかせられるように指導を行っていくことが求められています。領域エネルギー 粒子生命地球

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