0000高橋吹き出しが増加728749728749467467311311116116100100538520538520602602169169525262621000800600400469468200600500400300276276242242200100100080033733760040021920082871200100080026026060014314340020038382020問題文・説明文問題文・説明文まとめ・定義吹き出し問題文・説明文まとめ・定義吹き出し問題文・説明文まとめ・定義吹き出しまとめ・定義吹き出しはし26デジタル時代の学び東京学芸大学教授たかじゅん 平成27年度版算数科3年生教科書社会科3年生教科書 令和2年度版(谷口なぎさ氏作成の図をもとにe-na!!編集部で作図)算数科5年生教科書社会科5年生教科書 純連載 生成AIの発展は著しく、AGI(汎用人工知能:Artificial General Intelligence)と呼ばれる人間並みの能力をもつAIの完成まで秒読みといわれています。既に日本の医師国家試験など、正解や範囲のあるテストは、優秀な人間でも太刀打ちできなくなってきています。つまり、正解がある問題や、合格点などの到達可能なものは、あっという間にAIが答 現行の学習指導要領のページ数が、一世代前の学習指導要領と比較して増加したことは周知のことと思います。その理由を調査した高橋研の学生の卒論によると、「思考力・判断力・表現力等」に関する記述の充実によるものが大きいようです。教科書もまたページ数が増えていますが、同様に考えれば、「思考力・判断力・表現力等」に関する記述が増えたのではないかと単純に想像できます。 社会科や算数科の教科書紙面を調査した結果によると、「問題文・説明文」「まとめ・定義」の記述数は横ばいですが、吹き出しの数が圧倒的に増えています。例えば、社会科5年生であれば、吹き出しが169箇所から602箇所に増えています。同様に算数科5年生では311箇所から467箇所に増えています。 日常の授業では、この吹き出しをいかに扱うかが、ポイントになりそうです。もちろん、そのためには、教科書の冒頭や最後にある「教科書の使い方」等の解説を理解することも重要です。生成AI時代における思考力等の育成教科書の吹き出しに着目しようProfile博士(工学)。教育学講座に所属。東京都教育委員。独立行政法人教職員支援機構フェロー。日本教育工学協会・会長。教育工学、教育方法学、教育の情報化に関する研究に従事。中央教育審議会教員養成部会臨時委員、中央教育審議会デジタル学習基盤特別委員会委員長代理、同次期ICT環境整備方針の在り方WG主査、文部科学省今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会委員、等を歴任。えてしまいます。こういう時代にあって、ますます思考力・判断力・表現力等の育成が重要であり、さらにペーパーテスト等で到達度を測るようなレベルではない、本来の意味での力の育成が求められているといえるでしょう。 とはいえ、毎日の授業で何に配慮すべきかどうかは悩ましいと思います。そこでまずは教科書の記述に着目することをお勧めしたいと思います。 一部の中学社会科の教科書で新旧の紙面を比較すると、「見方・考え方」と書かれたコラムが追加されただけというものもありました。この紙面では、吹き出しではなくコラムでしたが、いずれにしても、本文のみを指導し、こうした記述を扱わなければ、以前と同じように教えられます。しかし、それでは学習指導要領も教科書も変わったのに、指導は変わっていないといえます。図1教科書の構成要素の新旧比較思考力、判断力、表現力等を育む授業づくり─教科書の吹き出しへの着目から─
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