教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.9 (中学校版)
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山□岩井祐一インタビュー□□□□□□こおりや ま 子どもが自己を統制するために使っていた「切り替え」という言葉。岩井先生の「授業の “見える化” で、子どもたちの気持ちがどのタイミングで切り替わったか、他の先生がたと共有できたことには大きな意味がある」というお話が、とても印象的でした。子どもたちにとって唯一無二の存在であり一度きりである大切な授業を、先生がたにはこれからも続けていただきたいと思いました。(編集部) 福島県郡市では、多くの学校で研究授業の際にclass 行っています。 若手の先生がたが授業改善に苦労されている現状で、cl 授業改善を可能にしてくれます。これまでは、子どもたちの発言や行動を記録して振り返るには膨大な時間がかかりましたが、classtockを使えば、効率的に行うことができます。 私は知的障害児にとっての「ことばの役割」に着目し「自分自身と関わるためのことば」の研究をしています。例えば、子どもが活動中うまくいかないことがあったとき、沈み込むのではなく自分の気持ちや感情をコントロールし、自己統制のことばを使うことができるようにするためには、どのような支援が必要かを検討しています。ある子にとっての、そのことばは「切り替え、切り替え!」でしたが、classtockを活用することで実際に生徒が使っている場面を記録することができました。教員がどのような場面でどのように子どもと関わり、どのタイミングで子どもたちの気持ちが切り替わったかを記録(言語化)し、ほかの先生と共有することには大きな意味があると感じています。 「なんだか今日の授業はうまくいったな」と感じることは、 また、初任者研修の中でもclasstockを活用した取り組みを行っており、指導を行う先輩教員による、豊富な経験をもとにしたアドバイスに加えて、classtockの客観的なデータを振り返りに用いることで、未来を担う若手教員たちの育成に役立てています。先生がたならきっとあると思います。たとえば、子どもたちの発言を引き出すためには「待つ」ということが重要だったりしますが、どのタイミングでどのぐらいの無音時間があったかもデータで可視化することができます。授業がうまくいった秘密を自分のものにして、それを他の先生がたともシェアし、ともに成長につなげることができたら本当にすばらしいですね。 普通学級の中での授業においても多様な実態がある中で、classtockの活用にはさまざまな可能性があるのではないでしょうか。その子にとってよりよい支援をするためには保護者の理解が不可欠ですが、授業を見ていない保護者には学校での子どもの姿が伝わりにくいことがあります。class の実態把握を円滑に進める可能性がありますね。 特別支援学校では、複数の教員が同じ授業を行うので、情報を共有することで、何が成功につながるのかが見えやすくなります。 子どもをどう理解し、どう見るかという視点は、学校種別に関わらず共通する問題意識だと思います。教員が授業以外の業務に忙殺されている現状はありますが、授業こそが教育の「かなめ」であるというのが私の信念です。教員は児童生徒にとって唯一無二の存在であり、その子にとっては一度きりの授業ですからね。tockで記録されたデータを共有することも、保護者のかたと31tockを活用しています。授業の事後研究会では、class tockで分析したデータにも触れながら、授業の振り返りをasstockは、経験だけに頼らず、客観的データに基づいた取材を終えて先生東京学芸大学附属特別支援学校中学部教諭 普通学級の生徒への対応教員の役割授業評価と教員サポートの課題導入経緯と活用事例うまくいった授業の秘密はどこに授業こそが教育の「かなめ」classtock活用の現場では

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