教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.9 (中学校版)
5/36

5ドラえもんのような「自律型AI」に期待したいと り で栗原 生成 AIの回答はプロンプト(指示)の書き方によって変わります。よりよいプロンプトを書くためには、思考力や言語化能力が不可欠です。AI時代にも変わらず必要になることは、知識を問うだけでなくプロセスや思考力を重視することです。これは、人間どうしのコミュニケーションでも同じです。生成 AIの登場は、私たちに改めて「考えを言葉にする」ことの重要性を問いかけているといえるでしょう。せください。栗原 AI研究の本質は「知能とは何か」を知ることだと考えています。AI技術の発展が人間理解を深める機会となる。インターネットや SNSは便利なツールですが、多様性の理解よりも、偏った群集心理や分断を生んでいるともいえます。現状の AIが「道具」であるかぎり、人間の利己的な部分を増幅させてしまう危険性があります。そこで、私が期待しているのが、道具ではない「自律型のAI」です。 自律型 AIはドラえもんのように自分で考え、人間に助言を与えたり、ときには厳しい忠告をしたりするようなAIです。人間は信頼できる相手からのアドバイスであれば、行動を変える可能性があります。このように人と共生できる自律型 AIが浸透すれば、社会がよりよい方向へと変われるかもしれません。例えば、AIが料理を完全に作ってしまうのではなく、人間が料理を楽しむのを補助するような役割分担といえばわかりやすいでしょうか。栗原 この先に AIが新しいものを創造する未来が来るとしても、最終的にその価値を評価し、そこからさらに新しいものを生みだすのは人間です。人間は完全な存在ではありませんが、それこそが人間らしさであり、AIにはないおもしろさです。互いに影響を与え合いながら、より豊かな社会を築いていくことができるのではないでしょうか。 そのためには AIを「道具」として使うのではなく、「パートナー」として向き合うことが重要です。学校教育は、そのパートナーと対等につき合うための思考力や人間性を育む、最後の砦なのではないでしょうか。「知能とは何か」を知りたい学校教育は最後の砦ーAI時代には、これまでの学びの姿は変わるのでしょうか。ーAIを取り巻く未来について、栗原先生のお考えをお聞かAI 時代に学びの姿は変わる?

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る