教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.9 (中学校版)
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□□OECDティーチング・コンパス(2025)より抜粋 純高橋8Profile 博士(工学)。教育学講座に所属。東京都教育委員。日本教育工学協会・会長。教育工学、教育方法学、教育の情報化に関する研究に従事。中央教育審議会教員養成部会臨時委員、中央教育審議会デジタル学習基盤特別委員会委員長代理、同次期 ICT環境整備方針の在り方 WG主査、文部科学省今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会委員、等を歴任。9 つの能力について、人間とAIを比較する 5 段階の指標レベル 3 であっても平均的な人間の能力を超えている点もあるように見えます。個別の領域で AIと比較していけば、人間が太刀打ちできない状況が迫っていることがわかります。 一方で、既にAIの存在を前提に書かれた報告書もあります。例えば2025年 5 月に公表された「OECDティーチング・コンパス(教師の羅針盤)」(以下、ティーチング・コンパス)です。今回は以前に示されたラーニング・コンパスではなく、教師に焦点を当てたティーチング・コンパスです。将来の教師のあるべき姿がまとめられており、さまざまな箇所で AIによる影響が示されています。AIを過大にも過小にも特別視しない、つまりAIが日常化する状況が、教師の世界にも迫っていることを実感します。デジタル時代の学び東京学芸大学教授□□□□□連載 連日、人とAIのどちらが優れているか、どのようにAIとつき合うべきか、さまざまな論評が飛び交っています。何を参考にすべきか迷うところですが、世界中の多くの専門家が関わって作成される国際的な報告書をご紹介します。 例えば、2025年 6 月に公表された「OECD AI能力指標」です。この指標は、AIの進歩を人間の能力と比較・評価するために設計されています。言語、問題解決、創造性などを示し、現状を評価しています。現在の AIはレベル 2 〜 3に位置づけられていますが、それぞれの指標を見るかぎり、AIに関する国際的な報告書AIで変わりつつある学校や学習

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