AIによって、授業づくりを根本から見直すことも求められ【参考文献】・ 文部科学省:「初等中等教育段階における生成 AIの利活用に関するガイドライン」(2025)・ OECD:「Introducing the OECD AI Capability Indicators」(2025)https://www.oecd.org/en/publications/introducing-the-oecd-ai-capability-indicators_be745f04-en.html・ OECD:「OECD Teaching Compass」(2025)https://www.oecd.org/en/publications/oecd-teaching-compass_8297a24a-en.html・ 高橋純:「生成 AIを活用して教科の学習で探究する子供達から」(2025)https://note.com/takalab/n/n940702a27255(以上ウェブサイトは2025.8閲覧)生成 AIを活用して探究する子供達から(高橋 2025) また、ティーチング・コンパスには、エビデンスベースで政策等を進めていくことについて、個別のエビデンスに一喜一憂するのではなく、複数の視点を統合し、点ではなくパターンを追究し、複数の真実を同時に抱えよ、といったメッセージもありました。世界中の行政機関が個別の測りやすいエビデンスを基にした向上に熱心になるのはよいが、総合的に意味ある向上がみられているのか心配しているのだと思います。このことは日本の教育委員会や学校にも当てはまるのではないでしょうか。 これは AIとのつき合い方にも通じると思います。能力指標では 9 つの能力について述べていますが、人の能力は 9 つ歳以上といった年齢制限を撤廃し始めています。今後、文部科学省「初等中等教育段階における生成 AIの利活用に関するガイドライン」に基づきながら、活用する地域が増えていくことと思います。 当時から年齢制限にかからない中学 2 、3 年生で、教科の授業に日常的にAIを活用している実践を拝見すると、本当に熱心に生徒たちが学んでいます。AIを自分の興味・関心や、理解できるレベルに合わせて動的に変化する「資料集」のように活用しています。 例えば、ある中学生は「イオンで、−とか、+とか、2+とかありますよね。これって恋愛に例えると、相性とか、好きな度合いとか、性別のことですか」と尋ねたりしています。そうするとAIは、「これを恋愛に例えるのは、とてもユニークでおもしろいですね」と褒めてくれてから、「恋愛における役割を『与える人』と『受け取る人』に分け、それぞれをイオンのプラスとマイナスに例えます」などと解説が始まります。先生に聞きづらいことでも、遠慮なく、わかるまで何度も尋ねられます。子どもたちにとっては、少しでも知っている言葉、興味のある言葉が入っていると、たちまち読みやすく理解しやすい文章になります。 もちろん、子どもたちもAIの答えには誤りも混ざっていることはわかっていますから、教科書の記述と照会することは必ず行います。これは、お買い物サイトの「口コミ」活用と似ています。口コミの多くは正しくなかったり、一面的な見方が多く掲載されたりしています。それをふまえてメーカー公式AIも用いつつ、総合的に能力を発揮することこそ、人間のAIで翻訳したり、要約したりして読むことができます。さらに、のみではないですし、個別の能力で比較していけば、人間は AIに負けてしまいます。例えば人間が、乗用車に走力の面で負けるのと似ています。しかし、目標を実現するために強みだと思います。 これらには、まだ外国語による報告書しかありませんが、音声にしたり図式化したりして、自分なりに読みやすく変えることができます。つまり言語の壁等を乗り越えやすくなっています。AIによって社会人の研究や学習に対する意識も変わりつつあります。のカタログとつき合わせることで、今まで見えてこなかったことがわかってきて、より深く理解ができます。生成 AIは口コミのような位置づけの資料集といえるでしょう。 また、子どもどうしの議論もとても盛りあがる傾向にあります。紙の教科書や資料集では、得られる情報量に限りがあったり、理解が難しかったりしたのだと思います。その生徒が理解できるレベルで、文章だけではなく、画像や動画などが、圧倒的な情報量で得られたとき、それは本当なのかと、生徒どうしの本気の議論が起こるのだと実感します。 こうしたことがうまくいくためには、「自分の成長のため」「向上目標」といった事前の学習(高橋 2025)が欠かせません(図)。一方で、ふだん、探究・問題解決型の授業においても、子どもたちが、ワークシートの指示に従って穴を埋めていくような活動をしていると、うまくいきません。AIで答えを出して、書き写して終わってしまいます。つつあります。9 2025年夏から、AIのサービスを提供している会社が、13AIによる授業の変化高橋純先生 公式noteはこちらから
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