左手の基本奏法
ギターは左手でフィンガーボード上のフレットに弦を押さえつけることで音程を決定します。クラシック・ギターでは人差し指から小指までの4本指を使い、人差し指から順に1、2、3、4という番号が付いていて、譜面上で運指を指定します。親指はネックの裏につけて左手全体を支える役割を担います。このフォームだと4本の指を均等に動かし易く、メロディー、ハーモニー、リズムを一度に弾く独奏に適しています。
フォーク・ギターの奏法はこれとは異なり、親指をフィンガーボードの上に出してネック全体をテニスラケットのグリップのように握り、6弦を親指で押さえたり、あるいは鳴らさないように押さえたり(ミュート)します。歌を歌いながら弾くことが多く、6本の弦全部を均等に鳴らすより、右手で打ち出す打楽器的なリズムに重点を置く場合が多いフォーク・ギターではこの方法が好まれますが、実際にはクラシック・ギターの左手と同じようなフォームと併用するのが一般的です。
ギターの左手は、1本の弦(1音)につき1本の指を割り当てる運指が原則ですが、同一フレット上の複数の弦を指板上に寝かせた1本の指で押さえる奏法も、とくにコードを弾くときには欠かせません。これをセーハまたはバレーコードといい、初心者にとって最初の難関となることが、ギターの世界では古今東西共通のエピソードです。フラメンコの名手は、人差し指でこのセーハを押さえたまま残りの3本指でメロディーを弾くという、初心者には信じられないような技巧を使います。
ギターを含む弦楽器奏者にとっての左手は、単に音程を決める以上に、演奏の本質を演出する重要な役割を担うものです。押さえた弦を揺さぶるビブラート、弦を押さえたままフィンガーボード上を左右に移動することで音の滑らかなつながりを得るスラーや躍動感を出すグリッサンド、右手で弦を弾くことなく、左手指を弦に叩きつけることで音を出すハンマリング・オン、逆の動作によるプリング・オフ、この2つを素早く繰り返すトリルなど、さまざまなテクニックがあり、これらの習得は必須です。
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