と怒りだすものも出てきました。何とかしようとも相手は化け鯨です。ケフェウス王はどうすることもできません。苦しいときの神頼み,ケフェウス王は神様にどうしたらよいかうかがってみました。すると「化け鯨を沈めるには,アンドロメダ姫を生けにえに捧げるべし!」とのことでした。それを聞いたケフェウス王は悩みました。「国を安らかにしたい。が,そのためには娘を差し出さねばならぬ
。」どちらも王にとっては大切なもの。どちらか一方をとるわけにはいきません。そうこうしているうちにも,化け鯨はエチオピアの海岸に出現しては,大暴れをしています。とうとうアンドロメダ姫は自ら決心し,「お父様,私を生け贄にして,国をお救いください。」とケフェウス王に申し出ました。この決意の固さにケフェウス王は泣く泣く,生けにえになることを認めざるをえませんでした。
エチオピアの海岸の大岩に,アンドロメダ姫がしばり付けられました。おだやかだったエチオピアの海が荒れ始め,神のお告げ通
り,そこに化け鯨が現れました。そして,アンドロメダ姫を一口で飲み込もうとしたまさにそのとき,天空から目にもとまらぬ
速さで,化け鯨めがけて突進し,鋭い剣でひとたち浴びせた者がいました。これが天馬ペガサス(ペガスス座)に乗った勇士ペルセウス(ペルセウス座)です。ですが,さすがは化け鯨。一撃だけでひるんだものの,まだまだやっつけられません。逆に今度はペルセウスめがけて攻撃してきました。ペルセウスは天馬ペガサスの俊敏な動きとともに,さらにひとたち,ふたたち,化け鯨に浴びせましたが,効きません。だんだん化け鯨に圧倒されるようになってきました。危ない!やられてしまうかも…。そのときペルセウスは袋の中から,退治してきたメドウサの首を出しました。このメドウサに見られたものは何でも石になってしまいます。これを化け鯨の方に向けると化け鯨はたちまち大岩になって,海中深く沈んでいってしまいました。こうして,アンドロメダ姫は救われ,勇士ペルセウスと結婚することとなったのです。
このまま終わってはケフェウス一家はめでたしめでたしですが,海の神ポセイドンは収まりません。そこで,この事件を引き起こした張本人のカシオペヤ王妃は星座になったときにいすに座らされ,しかも,地平線の下に沈んで休むことも許されず,ぐるぐると一日中北の空を回るようにさせられたのです。
というように,秋のおもだった星座は,北天に見える家族のお話をもとに探していくとおもしろいかもしれませんね。 |