内容解説資料 小学国語
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28筑波大学附属小学校教諭青■■木■伸■■生■大妻女子大学教授樺■■山■■敏■■郎■■言葉を学び、使うことの楽しさに出会う言葉を学び、使うことの楽しさに出会う——実生活に生きてはたらく『ひろがる言葉』実生活に生きてはたらく『ひろがる言葉』—— 国語科において身につけ伸ばす力とは、子どもが、言葉を道具として使いこなす力です。言い方を変えれば、子どもに、状況に応じた「話し方・聞き方、書き方、読み方」を身につけさせることです。そして言葉を使う場は、実生活の場ということになります。実際の生活場面において、生きてはたらく言葉の力を育てることが重要です。しかも、言葉を駆使する場は千差万別であって、いつも同じ技能がそのまま通用するということはほとんどありません。常に、その場に応じた技能の発揮が求められます。自分が言葉を発する相手やその人数、伝えなければならない内容や、その方法など、その場で判断して、自分のもっている技能を応用させることが求められるのです。そうした言語運用能力ともいえる力の基礎をいかに育てていくかが、国語科の授業づくりのポイントとなります。 国語教科書は、言葉を臨機応変に使いこなすことのできる力をつけるためのテキストです。言葉がもつ力を実感すること、言葉のおもしろさ・不思議さを実感すること、言葉を身につけることで自分自身を成長させること。この三つの視点を根底に置きながら、国語の授業を通して、場に応じた言葉の運用ができるように、言葉をみがくのです。それがすなわち、自分自身をみがき、成長させることになります。 国語教科書は、子どもが言葉をみがき、自分自身を高めることのできるものでありたい。言葉を通した人間教育に資する教科書をつくるというコンセプトに、教育出版が大切にしてきた「学習者中心の教科書づくり」を継承し、より深化、発展させた教科書をお届けいたします。 言葉を豊かに学ぶには、学び手が主体的に言葉に関わり、言葉の力を協働的に獲得していくことが大切です。主体的に学ぶためには、そこに学ぶ楽しさや喜びが必要です。言葉を学ぶことは、単に技術を学ぶことだけではありません。言葉を通して心を育て、世界を広げることができるのです。自己を築くための母語を獲得し、協働的に生きていく民主的人格が育まれるためにも言葉の学びは必要です。学校教育における言葉の学びは、国語科が担っています。国語科には、言葉の力を意図的・系統的に育成していく責務があります。子どもの発達に即した国語科での学習指導によって、人生に役に立つ言葉の力が身につくとともに、楽しくて、不思議で、奥深い言葉の世界が、少しずつ広がっていきます。 一方、言葉の世界は、国語科の中に閉じません。言葉の世界は、各教科等の学習や実生活へと多様に広がっていきます。情報化社会からスマート社会の到来は目の前です。これからの社会を生きる子どもたちは、さまざまな課題に直面します。多くの情報があふれる現代社会において、情報とどのようにつきあっていくか、社会をいかに持続可能なものとしていくか、多様な人々が自分らしく生きる権利をどのように守るのかなど、こうした課題には常に言葉の力が求められます。学び手が楽しさを感じながら言葉の力を獲得していくことで、これらの課題の解決につながることを意識し、徹底して子ども目線に立って教科書を編集しました。 “国語科で学ぶ言葉の世界が実生活に広がる”教科書でありたい。こうした願いを、「ひろがる言葉」という書名に込めました。著作者の言葉

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