「中学教科通信」特別号
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リモート学習先進国 ~トルコの場合~テレビとインターネットで遠隔授業コロナ禍以前からオンライン教育が充実コロナと教育世界の中学生の学習事情英語 トルコの教育制度では,6歳からは幼稚園,7歳から14歳までは小学校および中学校(各4年間),15歳から18歳までは高校(4年間),19歳以降が大学に通います。EU加盟交渉の開始にともない,教育方法についても改革が行われており,教科書の構成もヨーロッパの基準に変化しつつあります。 オンラインの教育システムであるEBAは,コロナ禍になる前から,怪我や入院,また家庭の事情により通学できない生徒が授業についていくために活用されていました。コンテンツが豊富で,教育に関する膨大なオンラインブック,ゲーム,ビデオ,音楽なども保管されていて,子どもたちに好評です。また,コンテンツを使うとポイントが加算されるようになっており,教師はこのポイントを目安として,生徒の使用頻度を確認しています。 トルコでは,3月17日から小学校・中学校・高校が休校になり,その1週間後から夏休みに入る6月上旬まで,テレビおよびインターネットによる遠隔授業が行われました。国民教育大臣は生徒に向けて,個人の責任で授業計画を管理し,授業時間には自分の授業を受講するように要請しました。 生徒たちは,国民教育省が管理するウェブサイト(eba.gov.tr以下EBA)とTRT(トルコ・ラジオ・テレビ協会)のチャンネルを通じて配信時間と授業計画を確認し,該当の日時に配信を視聴します。 配信を視聴する以外に,毎日1時間,EBA上にあるZoomを使った実際の担任との授業が行われる場合もありますが,パソコンのない家庭もあることから,参加は必須ではありません。また,EBAでオンライン試験が行われることもありますが,自宅での受験になるため,結果は成績に組み込まれないことになっています。いつもとちがう夏休み 中学生は外出禁止の年齢(20歳以下)にあたり,6月末まで家から出ることが許されませんでした。生徒は,自分または親のスマホを使い,WhatsAppというメッセンジャーアプリを通じて先生とコミュニケーションを取っていました。友人ともWhatsAppやビデオ通話などでやりとりしている生徒が多くいました。 トルコでは通常,9月中旬までが夏休みです。夏休み中は宿題がなく,旅行に出かける家庭も多いのですが,今年は旅行を控えて自宅や友人宅で過ごす生徒がほとんどです。コロナ禍による遅れを取り戻すため,今年は8月31日からオンライン学習が始まり,実際の登校は9月21日から段階的に始まります。1クラスの人数を減らして授業を行うといった,ソーシャルディスタンスを保つための対応も考えられているようです。中学生向けの遠隔授業。全国の中学生が同じ動画を視聴する。朝9時から午後2時半までのスケジュールで,授業時間は各30分。再放送も行われる。家庭学習を家族がサポート。EBAにはアプリもあり,親のスマホから利用している生徒も多い。の視点教科横溝 絢子(トルコ在住/海外書き人クラブ)よこみぞじゅんこ地中海トルコ12 教科の視点 英語特集 コロナ禍を生きる

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