教科書作成の現場から 社会科では,日本各地の自然・暮らし・産業について学習します。当然,教科書でも様々な地域を取り上げる必要があり,そのための取材が編集者の仕事として欠かせません。本記事では,弊社の第5学年の米づくり単元で取り上げている,新潟県南魚沼市を例に,取材活動の流れをご紹介します。 早朝の上越新幹線に乗り,現地入り。一日付きっきりで,農作業の様子を撮影します。作業の合間にお話をうかがっておくことも大切です。夕方に切り上げ,すぐ帰京。東京から日帰りしやすいアクセスのよさが,産地としての南魚沼の強みでもあります。社会科教科書に取材はつきもの種もみの準備,田おこしの取材取材した農家が経営するレストランのランチ。 撮影を主に行うのはフォトグラファーですが,撮ってほしいアングルなどの指示を出すのは編集者の仕事です。ただ,農作業の場合は現場の様子をひたすら撮り続けてもらう,というのが実態です。撮りためた画像の中から,教材として適切なカットを選びます。しろかき,田植えの取材 6月前後は田植えシーズンですが,天候が安定しないため,撮影日の決定が難しいです。「明日は晴れの予報なので,うかがってもいいですか?」というケースもよくあります。天候や農作業のスケジュールに合わせて,柔軟に動く必要があります。田植え,除草作業の取材 なるべく天候のよい日を狙って撮影しますが,田んぼの周りには日光を遮る物がないので,晴れすぎると体力的には大変です。 以上で全てではなく,この年は他に3度,南魚沼入りしました。米づくりの一連の流れを追うとなると,取材回数は多くならざるを得ません。とはいえ大変なことばかりではなく,田園風景にいやされたり,おいしいごはんが食べられたりするよさもあります。稲刈りの取材4月中旬5月中旬6月下旬10月初旬社会18 教科書作成の現場から 社会
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