教科書作成の現場から 小学校理科の教科書では,子どもたちが実物のイメージを膨らませながら学習を行えるように多数の写真を掲載しています。そのなかでも,3年「植物を育てよう」や4年「季節と生き物」5年「花のつくり/花から実へ」6年「植物の体」の単元では,ホウセンカやヘチマ,アサガオといった栽培植物を使って観察・実験を行うので,教科書にも単元の学習時期に合わせて撮影した写真を掲載しています。 では,写真撮影に使用する植物はどのように用意するのでしょうか。ヘチマのように大きなものは,撮影にご協力いただける学校のものをお借りしますが,ホウセンカやアサガオのように鉢植えにできるものは,編集担当者が栽培して用意しています。撮影当日に理想的な状態で撮影ができるよう,時期をずらして種子をまき,複数の鉢植えを用意します。梅雨が明けて気温が高くなると植物の成長も活発になりますので,朝夕2回の水やりが必要です。この時期,アサガオはツルを盛んに伸ばすので,支柱に誘引するのも大変です。 最近は長梅雨や猛暑などの異常気象も多く,栽培がうまくいかないこともありますので,毎年植物を栽培し,撮影にチャレンジしています。学校現場でも思うように植物が育たないこともあるのではない教科書と写真植物栽培の苦労話理科でしょうか。そのようなときは,教科書に掲載している写真を観察・実験結果の参考としてご活用ください。また,感染症の流行などで登校できない場合や,振り返り学習をする場合などでも,教科書の写真がお役に立てば幸いです。5年67ページ掲載のアサガオ。撮影に適したものを選び,撮影場所に運びました。本年のアサガオの栽培の様子。在宅勤務のため,自宅のベランダで行いました。昨年のホウセンカやインゲンマメの栽培の様子。移転前の神保町本社屋上で行いました。 19教科書作成の現場から 理科
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