「テディベアハント」もロックダウン中にひそかなブームになったものの一つです。「テディベア」とはもともと「くまのぬいぐるみ」ですが,くまを代表とする「ぬいぐるみ全般」のことも指します。つまり「テディベアハント」は「ぬいぐるみ探し」。これもまた,人々にさらに散歩を楽しんでもらおうという試みです。 最初は窓の向こう側にちょこんと座るように置かれたものが多かったのですが,次第にいろいろな遊び心が加えられました。バルコニーやベランダから身を乗り出したり,脱走するかのように門扉から身を乗り出したり,はたまたかくれんぼするかのように木の股に隠れたり。 毎日そんな「新作」を見つけるたびに,それを設置してくれた人たちの想いを感じて,あたたかな気分になれました。 同じような試みとして,「仮装ゴミ出し」もはやりました。オーストラリアの多くの場所では,普通ゴミは週1回,リサイクルゴミは2週間に1回の回収。大型ゴミ箱が各戸に配られ,前日夜までに道路脇に出しておくというシステムです。そしてそのゴミ出しのときに仮装をすることがはやったのです。 もちろん門を出てから道路脇まではわずか数秒なので,それほど多くの人たちに目撃してもらえるものではありません。そこで,動画や写真を撮って,ある人が立ち上げた専用のFacebookページにアップしたのです。他人を楽しませることが大好きな陽気なオーストラリア人ならではの試みですが,世界中の人に共有され,北米やヨーロッパからの投稿も相次ぎました。「仮装ゴミ出し」をFacebookに投稿「仮装ゴミ出し」をFacebookに投稿仮装ゴミ出しのFacebookグループ“Bin Isolation Outing”を運営するDanielle Askewさん。発足5か月後の8月末には,メンバーが100万人を突破。Like!見つける喜び見つける喜び「テディベアハント」で「テディベアハント」で植木に隠れるくまたち。「ふふふっ。ぼくたち絶対に見つからないよね」「そうだね。目立ちにくい色だもん」人型のぬいぐるみは意外と少ない。「運転するときには,もちろんどきますよ」かわいい動物たちがそろって迎えてくれるバリエーションも。4巻頭エッセイ特集 コロナ禍を生きる
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