1999年,オーストラリア・ブリスベンに子育て移住。2000年に世界各国在住の日本人ライターを集めた組織「海外書き人クラブ」を設立。『ビックリ世界の小学生』『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著書多数。また竹内雄紀名義で,『悠木まどかは神かもしれない』(新潮文庫)や『オセロ●○』(ハルキ文庫)など小中学生を主人公にした胸キュン小説も発表している。柳沢 有紀夫(やなぎさわ ゆきお)目玉をつけるなどの一工夫も。Austria写真提供:御影 実みかげみのる「石のヘビ」で「石のヘビ」でつながる気持ちつながる気持ち オーストラリアではなく,ヨーロッパのオーストリアでの試みも紹介しましょう。それは「石のヘビ」です。 首都ウィーンにある巨大公園ドナウパークでは,外出規制期間中に散歩に来た近隣住民たちが,色を塗った石を並べ始めました。一本に連なるその様子はまるで「石のヘビ」。するとおもしろいと思った子どもたちが,同じように石を持参して並べていくようになりました。 最初は10個くらいだったものが,2日後には約40個に。5日後には約40メートルにまで伸びていきました。いわゆる「ソーシャルディスタンス」を保つ必要があったので,大勢集まって大声で会話することはできません。でも,それぞれが持ち寄った石を静かに並べていくことで,子どもたちも大人たちもつながり合うことができたのです。・・・・・開始から1か月後には50メートルほどに。 新型コロナウイルスとの闘いはいつまで続くかわかりません。おそらく未来の歴史の教科書に,2020年は「新型コロナウイルスが大流行した年」と記されるでしょう。その一方でこの年が,コロナという共通の敵との闘いを通し,人種や国境,主義,主張を乗り越えて,人類が手を取り合い,ともに歩くことの大切さを再認識できた年であることも伝えられたらと思います。アフターコロナの時代になっても,世界中の人たちがこうした気持ちを持ち続けることを,私は願っています。オーストラリア・ブリスベンの人たちの憩いの場でもあるマウントクーサ展望台。観光客はいないが,外出規制が解除され市民たちが戻ってきた。5巻頭エッセイ特集 コロナ禍を生きる
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