「小学教科通信」特別号
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コロナ禍での音楽科の授業~学校再開からの2か月間~音楽仙台市立榴岡小学校教諭 千葉 敏弘ちばとしひろの視点教科 臨時休業中から職員の間でよく話題になっていたのは,「音楽の授業は何をすればいい?」ということだった。飛沫感染を防ぐために「歌唱」「器楽」を行わないで音楽の授業をしなくてはならないということは…「鑑賞」と「音楽づくり」を中心として,音楽の授業を組み立てていかなければならないことになる。もちろん,「鑑賞」「音楽づくり」で音楽の楽しさを学ぶことはできる。しかし,「歌うこと」や「楽器を演奏すること」は,音楽科の醍醐味であり,子どもたちもとても楽しみにしている。まして,自分が担任する3年生の子どもたちは,初めて手にするリコーダーを心待ちにしているのに…。 まずは,年間指導計画の見直しから行うことにした。先行きが見えない中でのスタートだったので,「鑑賞」と「音楽づくり」を前半に置き換える。教科書にある教材だけでなく,ショートステップで学んでいくことができるように,鑑賞教材を増やしたり,音楽を学ぶ基礎となるソルフェージュ(音符やリズムなど楽譜の勉強)の時間を増やしたりして,これまでは十分に時間をかけてできなかった学習に前向きな気持ちで取り組むよう,大まかに計画を組み直すことにした。 しかし,幸いなことに学校再開から早い段階で,教育委員会から「条件付きで歌唱と器楽の授業を行うことは可能」との通達があった。十分なスペースを取るため,普通教室ではなく,体育館や音楽室など広い場所で行うこと。歌唱においては,大きな声は出さず,歌唱の際には必ずマスクを着用すること。器楽においては,他者との接触を防ぐため,共用で使用するものは控えること。使用した場所や物などについては,担任が消毒を行うこと等…。 従来行ってきた授業の方法とは違っていても,やはり「歌うこと」「楽器を演奏すること」を子どもたちとできることが本当に嬉しかった。今まで当たり前に子どもたちと楽しんできたことが,こんなにも尊いことだったのか…。思わず涙がこぼれそうになった。 歌唱の授業では,飛沫防止のためにマスクを着用して行わなければならない。実際にマスクをした状態で授業をして困ったことは,子どもたちの表情や口が見えないことだ。これまでいかに顔の表情から多くの情報を読み取っていたのだろうと痛感する。どの子どもがどの程度口を開いているのか,または閉じたままなのかも見た目では判断しづらい。口の形を意識させるために,教師の口や表情が見えるよう,フェイスガードを着用して歌唱指導を行っている。 大きな声で歌うことを控えざるをえない中で,ハミング(鼻歌)で歌うことを取り入れた。ハミングは声を出すときに比べると極めて息を出す量が少ない。また,音の高低や鼻の周りに響かせることを意識させることで,音程や声の響きにも良い効果が見 3月から続いた3か月にわたる臨時休業が終わり,仙台市では6月1日から学校が再開した。今まで当たり前に過ごしてきた学校生活とは異なる新しい生活様式のもとで,授業や学校生活を送ることに対し,不安はとても大きかった。とりわけ音楽科の授業においては,感染予防のためのさまざまな制約があるため,戸惑いと緊張を感じながら,3年生の学級担任として新学期がスタートした。はじめにどうやって音楽の授業を行うか当たり前のことができる喜びおわりに6・7月に行った授業の様子や工夫について歌唱の授業器楽の授業鑑賞の授業音楽づくりの授業はじめにどうやって音楽の授業を行うか当たり前のことができる喜びおわりに6・7月に行った授業の様子や工夫について歌唱の授業器楽の授業鑑賞の授業音楽づくりの授業はじめにどうやって音楽の授業を行うか当たり前のことができる喜びおわりに6・7月に行った授業の様子や工夫について歌唱の授業器楽の授業鑑賞の授業音楽づくりの授業はじめにどうやって音楽の授業を行うか当たり前のことができる喜びおわりに6・7月に行った授業の様子や工夫について歌唱の授業器楽の授業鑑賞の授業音楽づくりの授業はじめにどうやって音楽の授業を行うか当たり前のことができる喜びおわりに6・7月に行った授業の様子や工夫について歌唱の授業器楽の授業鑑賞の授業音楽づくりの授業8 教科の視点 音楽特集 コロナ禍を生きる

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