社会生徒の学びを止めないために-休校中の取り組み明治大学付属中野中学・高等学校社会科教諭 飯塚 和幸の視点教科 2020年2月28日に政府による臨時休校要請,さらに4月7日には7都府県を対象に緊急事態宣言が発出され,筆者の勤務校も3月上旬から5月末日まで休校となった。 勤務校は,まだICT化が進んでいなかったため,生徒側の機器は,生徒個人で所有している端末に頼るしかなかった。3月上旬の時点では,プリントなど紙ベースによる課題配付で対応していたが,4月7日の緊急事態宣言の発出により,休校期間が長期化することが予想されたため,「ICT推進委員会」を組織し,授業配信の準備をすることになった(本校のICT化に向けた動きは,検討会という名称で3年ほど前からあった)。 当初の委員会の活動は,であった。❶に関しては,ICT機器の取り扱いに慣れている教員と不慣れな教員がいるため,可能な限り不慣れな教員に寄り添うスタンスを大切にすることを心掛けた。❷に関しては,動画配信の方法や簡単なルール作りを行った。生徒によってICT環境が異なることや,動画での授業を生徒が繰り返し見られる点などから,ライブ配信ではなく動画配信とし,1授業(1コマ)の動画の長さを15分程度にすることにした。❸に関しては,生徒の自宅での動画視聴環境の調査を行い,機器等がなく,動画の視聴ができない家庭には,学校所有のタブレット端末の貸し出しを行った。❸について多かった問題点は,視聴環境がスマートフォンのみであること,兄弟姉妹がいる家庭では,授業時間が重なり,ライブ配信形式では授業に参加できない生徒が多数いることが判明したことである。3週間ほどで❶~❸の準備作業を進め,さらに著作権法の改正を待ち,4月28日より授業動画の配信を実施した。 授業動画の配信自体は,大きな問題なく実施できたが,生徒の疑問にどう答えるか,また生徒の理解度をどのように見取るか,つまり生徒の「反応」がわからないことが課題となった。双方向でのやり取りが可能なプラットフォーム(勤務校の場合,ロイロノートとGoogle classroom)はあるものの,生徒・教員の双方が使い慣れておらず,すぐに活用することは難しい状態であった。そこでフォーム機能を用いて,質問の集約を行い,質問に対する答えを動画配信の際に盛り込むことなどを実施した。 動画配信は視聴の確認が出来ないため,生徒が動画を見たかという確認ができないことが欠点であり,見せる工夫や見たことを確認する方法を見出すことが課題である。先にも触れたが,動画配信は一方通行になるという課題が残る反面,1授業(1コマ)を15分程度に凝縮しているため,通常の授業より時間が生まれる利点がある。その生み出された時間を用いて,3に記すような取り組みを実施してみた。(1)フォームを用いた確認テスト 一方通行になってしまう可能性が高い動画配信において,生徒の理解度を確認する目的で,フォームを用いて確認テストを実施した(図1)。選択式の問いであれば,自動採点の機能もあり,生徒も満点になるまで繰り返し解くことが可能であるため,非常に有効であると感じた。対面授業再開後も,生徒からの要望で,単元ごとに実施を継続している。(2)地理院地図・Google Earthを使った学習 筆者は,地理(学)を学ぶ上で,フィールドワークが非常に重要であると考えている。しかし,新型コロナウイルスの感染防止の観点からすれば,しばらくはフィールドワークを行うことは難しい。そこで,休校期間中に,「地理院地図の使い方」,3.新たな試み4.まとめ1.休校中の課題・動画配信2.授業動画での課題3.新たな試み4.まとめ1.休校中の課題・動画配信2.授業動画での課題3.新たな試み4.まとめ1.休校中の課題・動画配信2.授業動画での課題❶授業作成方法の検討❷授業配信方法の検討およびルール作り❸生徒の環境調査2教科の視点 社会特集 コロナ禍を生きる
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