「中学教科通信」特別号 ウェブ版
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 筆者の勤務校のように,共通した端末を生徒が所持していない場合,生徒によってICT環境は大きく異なる。多くの場合,生徒の使用端末はスマートフォンであり,細かな作業に取り組ませることは困難である。そうした場合には,端末が異なっても,取り組める課題にすることが大切であると考えている。図1フォームによる確認テスト「Google Earthの使い方」の動画を配信した上で,それぞれ「自宅周辺の過去を知る」,「行きたい国を仮想旅行する」という課題を出した(図2,3)。 近年,インターネットを通じて得られる地理的情報は格段に増加している。国土地理院が公開している地理院地図では,現在の地形図だけでなく,過去の空中写真,地形分類図,地質図なども無料で閲覧することが出来る。また断面図も簡単に作図するこ図2 地理院地図で地域を調べる図3 地理院地図で地域の過去の様子を調べるとができ,生徒も簡単に自分の住んでいる場所について調べることができたようである。生徒が,現在自分の住んでいる場所が,過去には河川だったことを知って驚く姿は印象的であった。現在の自分の居住している場所の地形的な特徴や過去を知ることは,災害の予測にもつながるので,非常に有意義である。 またGoogle Earthには全世界の衛星写真が公開されている。数年前まで衛星画像は1枚で数万円したが,解像度に差はあるものの,ほぼ世界中の地域について無料で閲覧することができるようになった。これは地理学習にとって非常に魅力的である。本格的な調査目的で使用するには解像度が荒いものの,概観するには十分である。同じくGoogleにより公開されているストリートビューを用いれば,画面上で世界中を巡ることが出来る。残念ながら匂いや味を感じることはできないが,雰囲気を知り,興味を持つきっかけには十分である。 この間の実践で印象に残っている生徒の取り組みには,難民キャンプを調べたものや,遊牧民の居住地域の様子を調べたもの,極地を調べたものなどがあげられる。教室での授業でも取り組める内容ではあるが,自宅学習で時間にゆとりがあることで,じっくり調べることができていると感じられた。本来であれば,仮想旅行の計画書作成まで行いたかったが,時間の関係でできなかったのが残念であった。3.新たな試み4.まとめ1.休校中の課題・動画配信2.授業動画での課題自宅近くの地図を表示してみよう(海抜高度を確認)過去の空中写真を見てみよう(年代別の変化)3教科の視点 社会特集 コロナ禍を生きる

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