分散登校中は,対面授業とロイロノートによる動画配信の併用とし,指導計画の作成を継続した。あらかじめ動画を視聴して対面授業に臨む場合や,対面授業で学んだ内容を動画で補足する対応を行った。また,教師どうしが対話しながら黒板で作図する授業動画を作成する取り組みも行った。 休校中であってもICTを利用して探究的な活動が自宅で学習可能なことは大きい。一方,数学の全ての授業内容がオンラインに置き換わるものではない。文字式や図形に関わる記述の初期指導は対面でないと学べない内容もあるだろう。休校や分散登校が仮に長期間続く場合には,対面で指導すべき内容とオンラインで指導可能な内容を見極めて,それぞれに応じた効果的な方法を考える必要がある。使用するサービスが各学校で異なるため,自校で活用しているサービスがどのような学習活動に向いているかを考えなければならない。失敗を恐れず様々な可能性に挑戦していく必要があるだろう。 GeoGebraは,コロナ以前から授業でタブレットを利用して扱っていたため,生徒は慣れている。多くの生徒は「四角形EFGHが平行四辺形になる」ことを予想し,証明をすることができていた。教科書の課題と関連させて,四角形ABCDの形状を自由に変え,特殊な四角形や凹四角形になったときの四角形EFGHの形状を調べさせる。四角形ABCDが凹四角形の場合も平行四辺形になるが,証明の記述内容は四角形ABCDが凸四角形の場合と同様であるため,証明に必要な補助線など本質的な条件について考察することができ,証明の記述の比較も可能になる。なお,ロイロノートは画像による提出も可能なため,教師が生徒のノートの画像を添削して返却することもできる(図4)。追加で設定した四角形EFGHが特殊な四角形になるときの四角形ABCDの形状を考えさせる課題では,GeoGebra上で図形の形状を変えながら条件を見出す活動となるが,自宅でも取り組むことができる内容である。見出した条件を提出させ,ロイロノートではクラスの生徒が提図5 見出した条件の一覧表示(生徒も閲覧可)図6 生徒の質問カード図4 生徒の提出物の添削理の利用の学習では,教科書の問題(図3)と関連させて,いくつか追加の課題を設定し,生徒にはGeoGebraを使用してもらい,予想する活動や生徒どうしの考えを共有する活動の機会を創出した。出したものを一覧で表示できるため,考えを共有してから解説動画を視聴することが可能である(図5)。さらには,個人で様々な場合を探究することができ,教師へ質問したい場合にはロイロノートからその質問をすることも可能であり、質問に対する返答もできる(図6)。●GeoGebraを利用して各自で教科書の図を再現●四角形EFGHの形状の予想と証明●四角形ABCDが凹四角形のとき,四角形EFGHの形状の予想と証明●四角形EFGHが長方形,ひし形,正方形になるときの四角形ABCDの条件の探究生徒の学習活動図3 教科書の問題1.はじめに4.おわりに3.授業の実際2.授業支援クラウドを利用した本校の数学学習5教科の視点 数学特集 コロナ禍を生きる
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