「中学教科通信」特別号 ウェブ版
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音楽の視点教科演奏会自粛の時世に試みたこと長唄佐門会 唄方 三代目 杵屋 佐喜きねやさき 私がお教えしております長唄・三味線教室では2020年3月から5月まで全国3か所の教室を全面休業。6月からは在住の東京教室のみ,教室の消毒,ソーシャルディスタンス,マスク,フェイスシールドの着用,稽古場の換気を徹底し,対面でのレッスンを再開いたしました。 オンラインレッスンも導入いたしましたが,タイ 新型コロナウイルスの影響により出演舞台は2020年2月末から次々と中止となり,5月に出演予定でした歌舞伎座での市川團十郎襲名公演も含め,年内は9割以上,先は来年4月の公演までが中止となるなど,演奏家として大きな打撃を受けております。それでも7月頃からは対策を徹底しながらのテレビ収録,ラジオ録音,お客様を半分以下に制限してのコンサート,無観客での映像配信公演など,少しずつではありますが前に進み始めております。今夏8月からは歌舞伎座での公演が再開いたしましたが,無事に千穐楽まで乗り越え,この先再びさまざまなエンターテインメントが心に潤いを与えてくれることを切に願っております。 そもそも長唄は江戸時代に歌舞伎の伴奏音楽として成立した三味線音楽であり,歌詞の内容も歌舞伎同様「仇討ち」や「色恋」など大人の世界を唄うものが多いため,現代では少し内容に共感しにくいというご意見もあります。そこで担当プロデューサーの発案により,世界中の子どもから大人までが共感できる「食べ物」を題材に長唄をつくろうという企画がスタートし,約2年の制作期間をかけて2020年4月1日にYouTubeチャンネルを開設。世界中に子どもたちの笑顔の花が咲くようにという願いを込めて,第1弾『カレーライスの唄』のアニメーションMV(ミュージック・ビデオ)を公開いたしました。「カレーライスの唄」から 杵屋佐喜 作詞・作曲 望月左太寿郎 作調 佐野真隆 アニメーション  皆さまこんにちは。長唄演奏家の杵屋佐喜と申します。まずは昨今の新型コロナウイルス感染症対策により,各所で日々大変なご苦労がおありのこととお察しいたします。私は普段,長唄の演奏家として国内外の邦楽公演,歌舞伎公演,日本舞踊会などで長唄を唄う仕事をしており,同時に長唄を教える教室,作曲や普及活動,文化庁の伝統音楽普及促進支援事業の委員として音楽の先生方をサポートする活動もしております。ムラグなど課題は多く,中にはオンライン環境が整わず8月現在未だにレッスンができていない生徒さんもおります。人と人とが直接会って,共に音楽を楽しむことができる日常が一日も早く戻ることを願うばかりです。演奏家としての仕事の現状音楽教室についてこれからのこと新たな試み①長唄でカレーライス?新たな試み②長唄で童謡!新たな試み③リモート演奏で「元禄風花見踊」!?演奏家としての仕事の現状音楽教室について新たな試み①長唄でカレーライス?新たな試み②長唄で童謡!新たな試み③演奏家としての仕事の現状音楽教室についてこれからのこと新たな試み①長唄でカレーライス?新たな試み②長唄で童謡!新たな試み③リモート演奏で「元禄風花見踊」!?6教科の視点 音楽特集 コロナ禍を生きる

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