(1)動画を通しての学校探検 ホームページに載せる動画として,1年生の担任が学校を紹介する「先生と学校探検」というコーナーも設けた。入学式以降,一度も登校できていない1年生が「早く学校に行きたい」とわくわくしてくれたらいいなという期待を込め,学校の中や教職員などを撮影した。まだ一度しか入ったことのない自分たちの教室や,校長室,職員室,保健室,図書室などを担任が紹介した。後日,学校が再開してから,児童たちが「先生が出てくるのがおもしろかった」「職員室に副校長先生がいたよね」と言っていた。動画を楽しんでもらえていたようだ。(2)分散登校中には 6月から分散登校が始まった。本校では,各クラスを2つのグループに分け,午前と午後に分散して登校するという措置を取った。 ほとんどの児童が,入学式でしか顔を合わせていない。同じクラスの子の顔も名前もわからないというのが大半だ。更にクラスを2分割したことで,分散登校中も全く出会わないという子もいる。そこで,1年生の担任として心がけたことは,違う登校グループの情報を児童たちにできるだけ多く伝えようということである。例えば,授業中に発言をした子に,「あっ,午前中のグループの〇〇さんも同じこと言っていたよ」と伝えたり,アサガオを見ている子に「午後のグループの○○くんのアサガオの花が咲いているよ」と知らせたりした。また,教室にアサガオの観察カードや自分の顔を描いた絵を掲示し,同じクラスの友達の名前や作品に関心がもてるようにした。そうしていくことで,徐々に,「○○ちゃんに会ってみたいなあ」「○○くんの観察カードの絵がじょうず!」といった声が聞かれるようになってきた。更には,自分の名前や好きなものを書いた名刺を作る活動を取り入れ,「午前グループの〇〇ちゃんに会ったら渡そう」と,一緒に学習できていない子に会うことへのわくわく感が高まるようにした。 コロナ禍で例年のようなスタートを切ることができなかった1年生。しかし,一斉登校が始まってからの児童たちの様子を見ると例年にも増して元気一杯のように感じる。分散登校中に会えなかった友達ともすぐに仲よくなり,あっという間に一つのクラスができあがった。 担任として,コロナ禍においてよかったと感じることが二点ある。一点目は,1か月間の分散登校中に教室の中にいる人数を制限したことで,児童一人一人に目を配れたことである。少ない人数だからこそ,一人一人に声をかけたり全員から話を聞いたりと例年以上に児童と向き合うことができたように思う。 二点目は,児童たちのアサガオへの愛着である。臨時休業中にずっと家で栽培したからなのか,児童たちから「ぼくの,私の,アサガオ」という思いが強く伝わってくる。生活科の時間に,「ねえねえ,アサガオさんに名前をつけてるの?」と聞いてみたところ,「つけてます!」「私のアサガオは,『あーさ』っていうんだよ」「ぼくは,毎日花が咲くから『まいにちくん』ってつけました」と何人もの子が名前を教えてくれ,正直驚いた。休憩時間になると毎回「アサガオを見てきます!」とベランダに出ていく姿が見られた。臨時休業中には自主的に「あさがお日記」を書いていた子もいた。臨時休業や分散登校があっても,児童たちの思いや意欲を感じることができ,うれしく思った1年生のスタートである。家庭学習の出し方について小学校生活が楽しみになるように最後に小学校生活が楽しみになるように最後に11教科の視点 生活特集 コロナ禍を生きる
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