「小学教科通信」特別号 ウェブ版
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 今回は,時期や内容,教育委員会と学校,また動画の作成・編集・広報のプロが関わったことなどの条件が重なり,学校も家庭も初めての状況に戸惑うなかでの一つの提案として評価を得,一端の役割を担うことができたと思っているが,毎日・毎時間の授業分を供するとなると,また話は大いに変わってくる。 休校中には他に,ドリルやプリントなどを配布しての課題と合わせ,本区では5月頃よりSwayを用いた授業動画配信も行われた。こちらは,1本数分程度で,自校の教員が企画・撮影し,区や学校長の承認を得てアップされ,学校ホームページ上から視聴できるものである。 各校,自宅で待つ児童に思いを馳せ,試行錯誤しながら,さまざまな教科の動画を作成している様子であった。動画視聴によって休校中の授業の全ての代わりとすることにはならなかったが,児童にとって「自分の先生」が出演しているという安心やつながりを感じられるものであったと願っている。 休校期間中の学習のフォローは,今回は登校再開後に行うことができたが,今後の状況によってさらに長期化した休校が生じる可能性も考え,先を見据えたICTの活用を真剣に検討する必要がある。 新学習指導要領で掲げられている目標,児童に身につけさせたい力,学ぶカリキュラム自体の大幅な変更は行わない前提のもとで,今日見直しを迫られているのは,などになる。 オンラインでの自宅学習においては,機器環境の整備や操作も含めた家庭の協力を必要とすることも多い。休校期間中の児童の様子を把握しても,動画視聴を含めた課題などへの“学びに向かう力”は,個性や家庭環境の差が小さくないことを感じたが,児童個人や家庭に責任を押し付けられるものでなく,環境の担保に向けては,すでに各行政での検討がなされていると聞く。GIGAスクール構想も拍車がかかっていくであろう。 保護者や世論の要望としても,オンライン教育の整備への声が高まっており,私個人も必要を感じてはいるが,オンラインやデジタル機器の環境が整ったとしても,それは手段であり目的ではない。一方的に動画を与え,個人で視聴するだけでは,小学生,特に低学年においては,学びが成立しづらいことは想像に難くない。 撮影した動画の配信であっても,視聴させるだけに終わらず,それを見て児童が何を学ぶのかを考え,「主体的な学び」への行動の変容を起こすための仕掛けが必要であると強く感じた。それにもつながる,「双方向・多方向」「つながり」「即時の反応」「評価や賞賛」や「家庭の関わり」「学校・教師の役割」などについて,考えずにいられなかった。えたらいいかわからず困っていたのでありがたい」「子どもが飽きずに楽しんで見ていた」など保護者からも好意的な反応を得た。SNSなどで全国の保護者に口コミで広がっていったことも確認し,YouTubeだけでも配信から2ヶ月で合計4万回を超える再生数があった。「需要がある」と感じられた。 ICTの活用については,書写においてもデジタル教科書を始め,コロナ禍に関わらず研究が重ねられているところである。 デジタル機器の活用は,もはや欠かせないものではあるが,自宅で児童が紙と筆記用具を用意し,書いたものをただオンラインで映したり送ったりして評するだけの結果重視では,書写学習のねらいは達成されにくい。例えば個々の運筆の様子までを,遠隔で把握するためにはどのような環境と手段が必要になってくるか。オンラインで児童相互や教師をつなぎ,書写学習でも取り入れられている課題解決型の授業や児童相互の,“対話的な学び”を成立させるために,どう関わり,指導をしていくかなど,研究と実践を進めていきたい。 可能性と課題がさまざまに浮かび上がってくる。「どこで」「誰と」「何を用いて」そして「どのように」が問い直されている。 江戸川区公式番組「おうちで動画『めざせ! ひらがなマスター』」 https://www.youtube.com/watch?v= BeJt45TGhI8新1年生に「ひらがな」の自宅学習動画を!確かな学びを継続させるためにおうちで動画『めざせ!ひらがなマスター』オンライン学習―その推進と課題書写―実技を伴う教科での学びをどう進めるか「密」を避け,配慮をしながらの収録各校からの動画配信―児童とのつながりコロナ禍―学びを止めないために新1年生に「ひらがな」の自宅学習動画を!確かな学びを継続させるためにおうちで動画『めざせ!ひらがなマスター』オンライン学習―その推進と課題書写―実技を伴う教科での学びをどう進めるか「密」を避け,配慮をしながらの収録各校からの動画配信―児童とのつながりコロナ禍―学びを止めないために新1年生に「ひらがな」の自宅学習動画を!確かな学びを継続させるためにおうちで動画『めざせ!ひらがなマスター』オンライン学習―その推進と課題書写―実技を伴う教科での学びをどう進めるか「密」を避け,配慮をしながらの収録各校からの動画配信―児童とのつながりコロナ禍―学びを止めないために新1年生に「ひらがな」の自宅学習動画を!確かな学びを継続させるためにおうちで動画『めざせ!ひらがなマスター』オンライン学習―その推進と課題書写―実技を伴う教科での学びをどう進めるか「密」を避け,配慮をしながらの収録各校からの動画配信―児童とのつながり●学校に登校し教室などで学習するという「どこで」●教師がいて児童が同じ空間で一堂に学ぶ「誰と」●基本を紙の教科書やノート,プリント等を用いて授業を行う「何を用いて」5教科の視点 書写特集 コロナ禍を生きる

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