「小学教科通信」特別号 ウェブ版
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慶應義塾幼稚舎 相場 博明コロナ禍における理科の授業実践理科あいばひろあきの視点教科 2020年3月から,コロナウイルス流行のために,日本中の学校が閉鎖された。そこで,学びを止めないためにどの学校も自宅学習やオンライン学習を余儀なくさせられた。 本校も例外ではなく,休校は6月中旬までの3か月半に及んだ。幸いなことに,本校は昨年から全校児童1人1台のタブレット端末(iPad)の導入が済んでおり,それを使った日常的な授業がすでに行われていた。児童もiPadの使い方に慣れており,また,学校のポータルサイトの構築も出来ていた。 筆者はICT教育の専門家でなく,また,オンライン授業も初めての経験である。毎回試行錯誤を重ねての授業であった。本稿では,6年生で行った理科授業の実践の概略を報告する。 課題は10回に及んだ(表1)。単元は,順序を変更し,オンラインでもできそうなものを選んだ。 第1回は3月であったので,5年生の復習問題をそれぞれに作成させた。ロイロノートの共有機能を使い,作成した問題を共有させ,お互いにそれを解くことで学習できるようにした。最初の課題でもあり,提出状況はたいへんよかった。 第2回からは,地震と火山の学習をさせた。教科 オンライン授業には,Zoomなどを利用した双方向リアルタイムで行うものと,教材を配信してオンデマンドで行うものがある。少人数で議論させる授業などはリアルタイム授業の方が有効かもしれないが,理科の授業を大人数(本校は1クラス36名)で行うには,オンデマンド授業が適当と考えた。 教材配信や課題提出のためのアプリとして,本校は,ロイロノート・スクールを利用しているので,これを使い定期的に教材を配信して,児童に提出させることにした。リアルタイムではないが,児童から質問を受けるなどの双方向的なやり取りも可能である。また,それと併用して,ポータルサイトを利用した保護者との連絡や,教材の郵送なども行った。表1 オンライン授業の記録1.はじめに2.オンライン授業の方法4.おわりに3.授業の実際1.はじめに2.オンライン授業の方法4.おわりに3.授業の実際1.はじめに2.オンライン授業の方法4.おわりに3.授業の実際単元テーマ課題内容配信教材解答共有返却第1回課題5年生復習みんなで作る5年生復習問題教科書を見て,5年生の復習問題をつくる。最低10問。問題を1ページ目につくり,解答とその解説を次ページにつくる。クラス全員が作成した問題を,共有し,クラス全員が作った問題を解いてみる。スライド4枚 問題作成例〇コメント,評価して返却第2回課題地震1地震についてノートにまとめよう教科書を見て,地震についてわかったことをノートにまとめる。スライド6枚 作成例×コメント,評価して返却第3回課題地震2地震ワークシートに挑戦教師自作の地震のワークシートを解く。ワークシート6枚×コメント,採点して返却第4回課題火山1火山についてノートにまとめよう配布資料を見て,火山についてわかったことをノートにまとめる。スライド24枚×コメント,評価して返却第5回課題水溶液おうち実験リトマス試験紙で調べようリトマス試験紙を郵送配布(1人20枚ずつ)。家庭内の液体の酸性,中性,アルカリ性を調べ,ノートに貼り付けて提出する。リトマス試験紙各20枚,説明スライド7枚〇コメント,評価して返却第6回課題月の満ち欠け月の満ち欠けの学習月の満ち欠けの原理を,スライドで音声入りで説明。配布した教材を実際に作成し,それを使い,月の観察をする。月の満ち欠け説明器材料,説明スライド(音声付き)36枚〇コメント,評価して返却第7回課題火山2ディズニーシークイズディズニーシーの中の火山などを中心とした解説を視聴し,スライドの中で出題されているクイズを考える。音声付きスライド50枚×コメント,採点して返却第8回課題地層1ハチオウジゾウクイズハチオウジゾウの発見の話を視聴し,地層や化石について学習する。スライドの中で出題されているクイズを考える。音声付きスライド78枚×コメント,採点して返却第9回課題地層2地層まとめと「てこ」導入前回のクイズの解説と,「てこ」導入動画を考える。音声付きスライド27枚と自作動画3編×コメント,採点して返却第10回課題てこ「てこ」クイズ「てこ」の原理を学習する。「てこ」クイズの解説を行う。音声付きスライド11枚と自作動画2編×コメント,採点して返却8教科の視点 理科特集 コロナ禍を生きる

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