GIGAスクール構想の実現に向けては,小学校,中学校段階のみならず,多様な実態を踏まえつつ高等学校段階においても一人一台端末環境を実現することが求められています。このような学校におけるデジタル環境の変化に伴い,理科の授業でも少しずつ新たな試みがされてきています。本稿では,地学の授業においてこれらのデバイスを活用した実習の実践の例をいくつか紹介しています。 アプリ・ソフトを活用した実習では,iPadで月を撮影し,その写真をもとに,月までの距離と月の大きさを求めるという実践や,Excelを用いて貝殻の形態を分析する実践を取り上げています。 また,データ共有を生かした実習では,生徒の自宅で気温・天気・風向の観測を行わせて集約し生徒一人に一台のデバイスと高速大容量通信ネットワークを一斉に整備するGIGAスクール構想,それに向けて教育現場は急ピッチで進んでいることと思います。先生方も生徒さんも,まずはデバイスに慣れ,文房具の一つとして活用していけるとよいのではないでしょうか。今号の音楽科のページは,音楽制作アプリを活用し,鑑賞と表現(創作)の2領域を横断してご指導をされている先生の学習指導例をご紹介します。題材名は「“My Theme”をつくって聴き合おう」です。前半(第1次)の鑑賞では,主題の働きに視点を置いて音楽を味わうことをねらいとし,旋律や音色と曲想との関わりに着目しながら,交響組曲「シェエラザード」(リムスキー・コルサコフ)を主教材とした学習指導を行います。「登場人物の雰囲気やイメージを音で表すことについて考えた,約7000ものデータをもとに各班でテーマ設定し,考察させる実習を紹介しています。デジタル機器の活用は,教員にとっての利便性向上にとどまらず,より生徒の主体的な学びを推し進める方向に,既存の学習の枠を広げる可能性も秘めているように感じています。さまざまな実践例を共有,蓄積し,内容をブラッシュアップしていくことでこれからの理科の授業のあり方を考えていければ幸いです。る」という活動をしていくことを伝えた上で,「Star Wars」「ドラえもん」の挿入曲も紹介します。後半(第2次)は,前半(第1次)の鑑賞を踏まえ,“自分自身をイメージした主題”の創作を行います。使用デバイスはiPad,アプリはGarageBandです。ウェブサイト本文をご覧ください。音楽科においては,従前行ってきた歌唱や器楽の活動をGIGAスクール構想の時代になっても大切に積み重ねていきたいものです。そこにICTの利点,すなわちビッグデータの中から課題に最適化するものを選び,論理的に配列したり,また,統合・再編集したりすることが加えられると,学習指導の手段が増え,創造性が育まれ,情報活用能力を培っていけることでしょう。海城中学高等学校教諭 山やま田だ 直なお樹き宮城教育大学附属中学校教諭 板いた橋ばし 薫かおる デジタル機器を活用した理科授業についてGIGAスクール構想の実現に向けた音楽科の学習指導例視点の教科ウェブ掲載記事のご案内10デジタル時代の学びのカタチー教科の視点特集
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