「中学教科通信」2021年5月号
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 満月の夜に枝の皮を食べにきたエゾモモンガたちです。エゾモモンガは北海道の奥深い山の中だけでなく,残存している防風林のような森にもよくいます。ここは市街地のすぐ横の防風林です。 夜行性動物であるモモンガの暗闇での美しさを表現したい,できれば月光の中での光景を撮りたいと思っていました。 月とモモンガを一緒に撮影できる場所は,その2点を結んだ延長線上の1点しかありません。そのためモモンガの活動時間に合わせて,その日ごとの月の動きを天体観測ソフトで調べ,コンパスと角度計を使って撮影場所を予測しておきます。撮影中にも月はどんどん動きますので,こまめに移動しないとならず,超望遠レンズのついたカメラを手持ちで使用しています。このときは,1匹が来ることは予想していたのですが,まさか2匹が縦に並んでくれるとは思ってもいませんでした。 モモンガはどんな木が好きなのだろうか,どんな生きものと暮らしているのだろうか,そういった身近な生きものへの関心が,身のまわりの森や林の環境への関心へと広がっていってくれたらと思っています。小原 玲(おはら れい)1961年生まれ。動物写真家。報道写真家として内外の雑誌で活躍したあと,アザラシの赤ちゃんとの出会いを契機に動物写真家に転身。シロクマの母子の写真物語「うみへのながいたび」が教育出版小学国語1年の教科書に掲載されている。写真集,著書は多数。愛知県名古屋市在住。月とモモンガ小原 玲連載エッセイ 動物たちからのメッセージ①13動物たちからのメッセージ連載

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