「小学教科通信」2021年5月号
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が,その利用状況をみると,Google Workspace for Education(旧G Suite)が54.4%,Microsoft 365が38.4%になっています。つまり,多くの先生がたにとっては,あまり使った経験のないOSやクラウドサービスを活用することになります。また,使い慣れたWordなどが使えるMicrosoft 365が導入されたとしても,クラウドで使おうと思えば,操作イメージは異なる点も多々ありますので,結局,多くの先生がたにとっては新しいチャレンジになることと思います。 クラウドサービスといえば,Webメールのやりとりやデータの保管をイメージするかもしれませんが,クラウドの本丸は,データやスケジュール等の共有,共同編集などになります。しかし,388名の先生がたに調査した結果によると,まだまだ多くの先生は,プライベートでもこうした活用をしたことがない状態です(表1)。これらの機能に,まずは先生が慣れていくことが重要ですし,さまざまな研修の場でも積極的にクラウドの活用を取り上げていく必要があるといえるでしょう。クラウドは,インターネットの先にあるGoogleやMicrosoftなどのサーバに接続して,ワープロや表計算のソフトを使うという仕組みです。学校でも家でも,端末が変わっても,スマホでも,続きから入力作業ができます。本来の意味でのクラウドサービスであれば,アプリやソフトのインストールは不要で,Web上で動作しますし,そのつどダウンロードされますので,最新のサービスを常に活用することができます。次々と新しくなり,ボタンの位置や形が変わるのはよくあることですので,臨機応変に操作を覚えていくことが求められます。インターネット上のサーバにデータを保存するのが心配と思う先生がたもいるかもしれません。これは,お金に例えれば,タンス預金なのか,銀行に預けるのかということと似ています。タンスにしまうよりも,プロが最新セキュリティで守ってくれている銀行を使う人が多いように,パソコン上のデータもプロに預ける時代になりつつあるといえます。ただし,あらゆるコンピュータがインターネットに接続していますので,個人の端末でもクラウド上でも,操作をまちがえればあっというまにデータが世界中に拡散します。データの取り扱い,誤操作などに留意が必要なことには変わりありません。 学校だけでなく企業などにおいても,世界的にクラウドの活用が始まっています。大きな変化ですので,ある意味では,これから取り組む地域にチャンスがあります。これまでにICT活用の蓄積がある地域では,いったん立ち止まってクラウド活用のイ表1 教員が利用しているクラウドサービス(登本・高橋 2020)選択肢回答数(%)1Webメール/Gmail,iCloudメール,Yahoo!メール,Exchange Onlineなど298(76.8)2データの保管/Googleドライブ,OneDrive,iCloud Driveなど223(57.5)3データの共有/Googleドライブ,OneDrive,iCloud Drive,Dropbox,Amazon Driveなどを使った友達や教員などとのデータの共有136(35.1)4オンラインでの共同編集/Googleドキュメント,Googleスプレッドシート,Googleスライド,Word,Excel,PowerPoint,Pages,Numbers,Keynoteなどを使っての共同編集103(26.5)5スケジュールの共有/Googleカレンダー,iCloudカレンダー,Outlookカレンダー,TimeTreeなどを使った部活・サークル活動,友達,家族,教員などとのスケジュールの共有99(25.5)6ビデオ会議/zoom,Google Meet,Microsoft Teams,Cisco Webex Meetingsなど173(44.6)7上記のサービスを利用したことがない27(7.0)8わからない17(4.4)4デジタル時代の学びのカタチー提言特集

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