GIGAスクール構想により一人一台の学習者用情報端末の配布と高速大容量の通信ネットワークの整備が進められています。 学校現場において,情報端末を活用しながらどのように学びを深めていけるのかを考えていくことが,これからの課題だと思います。そこで大事なことは,情報端末を使うことが目的なのではなく,学びを支える手段として情報端末を活用するということです。情報端末ありきの授業構想や,情報端末を使うための学習になってしまわないように十分に気をつける必要があります。 もちろん情報端末を学習で活用できるようにするためには,操作技術を習得する段階は必要です。しかし,そのためだけの学習に陥らないように留意することが肝心です。 学習の過程において,友達と考えを共有することで,自分の学びを広げたり深めたりすることができます。タブレットを上手に活用し,協働的な学びをより効果的に支援することが可能になります。紙媒体で共有しようとする場合は,共有できる範囲が限定されてしまったり,時間差が生まれたりしてしまいます。しかし,授業支援システムを導入することで,一斉に,かつ瞬時に共有することが可能になります。また,友達の思考過程を確認することもできますので,子どもたちは必要に応じて自分の考えを広げる機会を得ることができるようになります。 例えば,本校ではMetaMoji ClassRoomを導入して授業で活用しています。 おすすめの本を紹介する読書活動では,本の表紙をタブレットで写真に撮り,Word等に貼り付けて紹介文を書きます。文字入力は,キーボードでも手書きでも可能です。あらかじめ作成しておいたクラスのフォルダにアップロードすると,子どもたちは 学習において,自分の考えを見えるかたちで表出することが重要な思考活動です。考えたことを話したり書いたりして表出することで,思考を整理していくことになります。ノート等の紙媒体に書く場合とタブレット等を活用する場合では,それぞれのメリット・デメリットがあると思いますので,学習活動に合わせてその効果を考えて選択することが重要だと思います。 例えば,作文を書くときのことを考えていきましょう。作文を書く段階では,何度も書き直しが容易にできるタブレットを活用することは有効です。推敲する段階では,書いたことを残しておくことで,より比較・検討が可能になることを考えると,紙媒体にもよさがあります。 また,書字が得意ではない子どもたちにとっては,タブレットを使用することで書くことへの抵抗感を和らげることができ,取り組みやすくなる場合もあります。個別最適化の一つとして柔軟に取り入れることは,子どもたちの学習へ向かう意欲を高めることにもつながります。学びを支える情報端末の活用東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 大おお島しま 静しず恵え 目的ではなく手段であること協働的な学びを支える思考の外化を促す8デジタル時代の学びのカタチー教科の視点 国語特集
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