「中学教科通信」2021年5月号 ウェブ版
13/17

 膨大な量の情報の中から課題に最適化するものを選び,それらを論理的に配列したり,統合・再編集したりすることにICT活用の利点があります。音楽科では,本来の音素材や楽器によってできること-例えば,実際にギターを弾く,箏を弾く,歌声を美しく響かせるなどといったこと-は,これまでも大切にしてきたのと同様に積み重ねていきたいものです。そうした基盤を認識した上で,ICT活用によって教育活動の手段を増やし,創造性を育んだり,情報活用能力を培ったりすることの一翼を音楽科の授業でも担うことができればと感じています。まずは教師が積極的にICT機器に触れ,生徒とともによりよい使い方を見いだしたり生徒から教わったりしながら,教科や場面を問わず活用していきたいものです。 使ってみないことには,何も変わりません。変わることを求めずとも,その「よさ」は使ってみないと分かりません。日頃,私たちが児童や生徒を理解しようとすることと同じように,関わっていくからこそ見えてくるものがあるのだと思います。ICT活用に関する“試行錯誤の蓄積をすること”が,各学校現場における令和3年度末のゴールの一つなのではないでしょうか。終わりにちなみに〈その1〉:Chromebookの場合は?? GIGAスクール構想関連でのICT端末の導入状況を全国的に見ると,Chrome OSのシェアが圧倒的に多い様子です。その場合,現状では残念ながらGarageBandを使うことができません。使用端末がiPadではなく,ChromebookやWindowsOSのノートパソコンである場合や,それに加えて“ソフトやアプリを購入する予算がないため無料の範囲で使用できるツールを探したい”,“操作方法の簡単なツールがよい”という場合には,こちらのページを活用するのがよいと思います。●SONG MAKER(Chrome music lab)https://musiclab.chromeexperiments.com/Song-Maker/ こちらのSONG MAKERに関しては,音色の種類が少ないなどの課題はありますが,旋律創作に取り組む授業の場合に“授業のねらいを大きく変えずに手段を変える”ということが可能です。また,作品に自動生成されるURLを保存することで再生や再編集が可能であり,こうした点が汎用性の広がりにつながっています。ちなみに〈その2〉:GarageBandで遊んでみた ソフトやアプリを授業で使うために,まず教師がそのツールで遊んでみることも大事です。こちらは,教材研究の時間というか…余暇というか…という中でつくってみた作品を動画にして,昨年度の休校期間中に生徒に配信したものです。ご笑覧ください。●アレンジしてみた 「チャイムいろいろ」https://youtu.be/nYgalXveVTg iPhoneやiPadユーザーの生徒は,“自分はこんな風に遊んでみました”と休校明けにGarageBandを活用した作品を聴かせてくれたりもしました。をGarageBandで教師が弾きながら改めて聴かせます。その際,リズムや音高などを変化させた旋律も示しながら“何を変えるとどう印象が変わるか”を感じ取っていきます。その上で,例示した旋律を“自分の雰囲気やイメージを表す”という点をよりどころにしながら変化させ,10秒程度の旋律をつくって録音します。「この音を半音上げると明るくなるね」「このリズムをもっと弾ませたら元気のいい感じになるね」「落ち着いた感じにするためにここの音の幅を小さくしてなめらかな動きにしようかな」というやり取りを積み重ねます。授業の終わりには,学籍番号と氏名をデータ名に入力させた上で,データを保存させます。     第2時で創作した旋律を仲間に聴かせながら,速度を工夫したり,打楽器を足すなど音を加えたりします。打楽器を足すにあたっては,「DRUMS」機能と「DRUMMER」機能の使い方を伝え,トラックに重ねる方法を試させます。「DRUMS」機能では,打ち込み方と録音方法を示した上で旋律に組み合わせる方法を試させます。「DRUMMER」機能では,自動生成されるリズムパターンを基に拍子や速度,打楽器の種類を変化させながら自分の旋律と組み合わせていく方法を試させます。     4~6人を1グループとし,お互いの作品を聴き,感想を伝え合います。音がよく聞こえるよう,グループ間で距離を取って活動させるか,イヤホンを使用させます。聴き合った後は,グループごとに代表1名を選び,全体で紹介します。その際,作者には創作にあたってこだわった点を紹介させます。また,まとめとして振り返りのアンケート入力をします。Google Formのアンケートが便利です。第3時第4時13デジタル時代の学びのカタチー教科の視点 音楽特集

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る