終末 授業をとおして起こった心情の変化を確かめたり,日常生活と関連付けて道徳的価値を実現することのよさや難しさを確認したりして,今後自分自身がどのように行動すればよいのかといった思いや態度を生徒にもたせることが求められる段階です。 「違反摘発」(C 遵法精神,公徳心)は,新聞への二つの投書記事をもとに「法やきまりはなんのためにあるのか」を考える教材です。危篤の親のもとへ車を走らせる途中,スピード違反を摘発されて死に目に会えなかった会社員(夫婦)による,「法とはいったい,誰のためにあるのか」という投書。それに対する,病院に行くために急いでいた車にはねられて叔母を亡くしたかたからの,「気持ちはわかるが,事故を起こしたら理由は関係ない」という投書。 展開で生徒たちは夫婦の想いに共感しつつも,警察官がなぜ「ルールはルール」としたのかを考え,きまりを守ることの意義や大切さを理解していきます。 終末においてこの心情の変化を捉える際に効果的なのが,ロイロノート・スクールのシンキングツールです。縦軸に「ルールは必ず守るべき」「状況によってはしかたがない」,横軸に「警察官に共感する」「夫婦に共感する」を設定し,生徒の想いや考えを入力したカードを貼っていきます。 展開前段で「ルールは守らなくてはいけないのはわかるけど,大切な人のためなら守らなくてもしかたがないと思う」というカードが貼られ,展開後段では,「夫婦の気持ちもわかるけど,やはりルール ICTの活用は,これまでの道徳教育の手段や様式を否定するものではありません。デジタル的ツールとアナログ的ツールそれぞれの得意・不得意を踏まえたうえで,最も効果的なツールを選択し活用していくというものです。何を目的にどのツールを使うのかが,指導者の腕の見せどころといえます。 そして,「読み物教材」「板書」「ワークシート」などのあり方も,今後大きく変わる可能性があります。私たち指導者には,これまでの蓄積を生かし大切にしながらも,それに縛られることなく,新しい発想で,新しい道徳授業をつくりだすことが求められているのではないでしょうか。は守らなければいけない。でも自分がもし同じ状況におかれたらと思うと,自信がない。」というカードが貼られたりします。それらを座標軸上に示すことで,文章では表せない心情の変化を可視化することができます。さらに,ネットワーク上で提出させた全員の座標軸を,各自がタブレットに表示し,全体で共有することも可能です。身の思考を整理することができます。また,「“人との関わり”に関係する喜び」のように付箋をグルーピングして可視化することで,新たに自分自身が大切にしたい価値に気づくことができます。 さらに,マップ画面の共有を行うことで,生徒は同じ問いでも人によって思考の流れが異なっていることに気づいたり,新たな考えを発見したりします。それにより多面的・多角的な捉えが可能となり,さらに深い思考を促すことができます。ロイロノート・スクールを活用して心情の変化を可視化するXMindを活用して思考経路を捉えるおわりに17デジタル時代の学びのカタチー教科の視点 道徳特集
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